【佐伯 明の音漬日記】中ノ森BANDの2ndアルバムを聴く

2006.11.26 00:00

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2006.11.×

中ノ森BANDの2ndアルバム『Do the Rock』を聴く。

バンドは、儚い。

デビューしたとしても軌道に乗るかどうかわからないし、
軌道に乗ったとしても人間関係が正常に保たれるとは限らない。
世の中の音楽的流行や経済的な波に影響されないとも限らない。

僕はもう、何百というバンドの興亡を目の当たりにしてきた。
素晴らしい事例の影に、たくさんの失望と哀れな姿と捨てぜりふを見聞きしてきた。

「もう、バンドはいいじゃないか!悲しすぎるよ」と叫ぶ
もう一人の自分が傍らにいる。

しかし、バンドは素晴らしい。

複数の人間が共鳴して、足し算のシミュレーションを
遥かに超える音楽現実を見せてくれる。

小さな努力が正しく評価され、涙がシームレスに笑みに変わる。

つまり「僕がバンド音楽を必要としているように、
世の中もそれを必要としている」と言い切って生きていきたいと思う。

6月の末、中ノ森BANDのライヴの後にメンバーと少し話をした。
リズム隊のコンビネーションの練習、セットリストを組み上げる話し合いや
オーディエンスとのコンタクトの取り方について、
簡潔に楽しそうに話す彼女たち4人は、
普遍的に何度でも提示できるバンド像を持っていた。

ファースト・アルバムにあった、楽曲の性格を際立たせようとするあまり、
曲ごとの段差ができてしまうこともなくなり、
今作はバンド感がグッと前面に押し出されている。

時代がバンド・ブーム時であれば一気にブレイクするだろうが、
そうたやすくはないかもしれない。

しかし、彼女たちは普遍構造を持ったバンドである。
「世の中のニーズが僕には見える」と断言したいと思う。






中ノ森BANDのニュー・アルバム
『Do the Rock』
2006年11月22日発売