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Stereolabが紡ぎ出す反復性の至福に魔力があることには、議論の余地がない。しかし、バブルガム嗜好や、公開実験風のレコード、秘密結社めいたところ、それにMoogやFarfisaのキーボード群──どれを取っても、''70年代ドイツのトランス系グループNeu!の手法を、そっくりそのまま真似ているのは明らかだ。

が、それさえも欠点と思わせないStereolabのユニークな個性は、過去の珍奇な音楽を掘り起こして作り換える、ギタリストTim Ganeの手腕の賜物だ。当然のこととして、女性シンガーのLaetitia Sadierも古物趣味に取りつかれている。彼らは埋もれた古い音楽を漁り、掘り出し物を利用しては、妙なバランスのセミモダンなムードミュージックをつくりだす。

フランス生まれのSadierがイーストロンドン育ちのGaneと出会ったのは、彼が急進的なロックバンドMcCarthyとパリでギグを行なったときだった。恋におちた2人は''91年にStereolabを結成。作曲を担当するのはGaneで、ArchiesとJohn Cage、あるいはBeach BoysとCanの要素を同時に採り入れた曲を書くことも珍しくない。この見せかけの矛盾によって、Stereolabの吸引力のある重いビートが活きてくる。片やSadierは、“見つけた”歌詞をはっとするほど魅惑的に歌い、うねり進むコードの波間に妖しいメロディを漂わせる。

''92年にリリースされた『Peng!』と『Switched On』は、誘惑の通奏低音と風変わりなノイズをベースにした恍惚の曲集。『Space Age Batchelor Pad Music』ではエレクトロニクスの領域にさらに踏み込んでいる。

次の『Transient Random-Noise Announcements』(''93年)は、Stereolabの臨機応変の才が発揮された名作。『Mars Audiac Quintet』も同様に甘美な作品だった。『Emperor Tomato Kechup』(''96年)は、前2作ほど多彩ではないが、まずまずのヒットになる。

『Dots And Loops』(''97年)では、少し寄り道をして、いつもより聞きやすい音楽を試みた。しかし、すべてのアルバムに共通するのは、Stereolabは常に、ほかとは違う特異な音楽をつくり続けているということだ。

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