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Oasisには傲慢さ、Blurには頭脳があるとすれば、オックスフォード出身のSupergrassがその測り知れない才能に溢れた小さく喧嘩っ早い手の中に握っているのは、まさしく未来である。正統派ブリティッシュロック(Small FacesやBuzzcocks、Sweet、Kinksなどがその代表)を既に苦もなくマスターしたと思われるこの傍若無人な若き成り上がりたち――Gaz Coombes(g)、Mickey Quinn(b)、Danny Goffey(ds)の3人組――のサウンドは、飾り気がなくとてもシンプルで、すがすがしくノリが良い(そして奇抜)。

ティーンエイジャー時代のCoombeとGoffeyは、Jennifersというそこそこ名の知られたバンドに在籍。学校が休みになるとヨーロッパをツアーで回ったりしていた。しかし''94年、既にSupergrassとしてイギリスのParlophoneと契約を交わしていた彼らは、“Caught By The Fuzz”“Mansize Rooster”という2つのシングルをヒットチャートに送り込むこととなる。“Caught By The Fuzz”は非行少年の一夜の騒動について歌った、SweetのグラムロックとSticky Fingers時代のStonesを正面衝突させたような曲。そして、この壮大なる楽曲に勝るとも劣らない成功を収めたのが、狂乱のハーモニーと陽気なアレンジをミックスした“Mansize Rooster”で繰り広げられる軽快なピアノサウンドである。

AbbaとElton John、BuzzcocksとWhoの違いを理解するにはあまりにも若すぎた3人組は、単純にこれらアーティストのエッセンスをすべてぶち込み、全くタイプの違う、若さと活力に溢れた曲を作り上げたのだ。そんな彼らのデビューアルバム『I Should Coco』は、その大半がメロディックな乱痴気騒ぎ(“Strange Ones”“Lenny”)で占められていたものの、3人が雰囲気のある曲(“Sofa Of My Lethargy”) や、地に足の着いたメランコリックな物語(Supertramp風の“She''s So Loose”)、穏やかなアコースティックソング(“Time To Go”)も書けることを証明する作品となった。

Supergrassに更なる大きな飛躍をもたらしたのは、成功によって生まれたプレッシャーを匂わしつつ、彼らのお祭り騒ぎ的鋭さを成熟というオブラートで幾分和らげた2ndアルバム『In It For The Money』である。この作品のオープニングを飾るタイトル曲では、「太陽が沈む」のを見ながら「俺のこの指がボタンを」押すぞと迫るGaz のヴォーカルと、そのバックで鳴り響く豊かなホーンセクションが聴きどころとなっている。

アルバム全体のテーマを「のんびりとした平和な時代への憧れと逃避」とすることによって、前作より幾分トーンダウンしながらも、十分勢いのあるパワーポップを生み出すSupergrassの創造テクニックは一層強化された。“Richard III”“Tonight”“Sun Hits The Sky”では、相変わらず彼らの特徴である小気味良い快活さが前面に押し出されているが、しかし本当に我々を驚かせてくれたのは、むしろ内省的な部分を強調したナンバーだ。Goffeyが曲の大部分を書いた“Late In The Day”では、思い出と後悔に思いを巡らすGazの心をゆさぶるようなヴォーカルが素晴らしい輝きを放ち、Abba風の反復低音から成るブリッジ部分を経て、Moogのソロやエッジの利いたギターサウンドへと移っていく。

“It''s Not Me”はバンドの成功を否定する内容の曲で、ここでもQuinnの美しいハーモニーを従えたCoombes が、「これは僕じゃない、僕じゃないんだ、でも何なんだか分からないんだ」と無邪気さの喪失を表現しながら逃げ道を探している。そして3人は、“You Can''t See Me”でSupergrassの置かれた状況をテレフォンセックスになぞらえたのち、徹底的に陽気な“Sometimes I Make You Sad”でアルバムを締めくくっている。オルガンを用いた軋むような摩擦音とブーブーふざけた破裂音が笑いを誘う曲だ。

Supergrassは今までも、そしてこれからもスターであり続けるだろう。Steven SpielbergとCalvin Kleinの両者から非常に魅力的な契約を持ちかけられたにもかかわらず、彼らはそれらをことごとく蹴っている。彼らが本当に作りたいのは音楽だけなのだ。何とも素晴らしいことではないか。