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もし、音楽のあるジャンルを1人の男の業績に帰することができるならば、ロックンロールは、Chuck Berry(本名Charles Edward Anderson、'26年10月18日カリフォルニア州サンホセ生まれ)が確立したと言ってしまっても過言ではないだろう。才能溢れるギタリスト、ソングライター、そして作詞も手がけたChuck Berryは、文字通り古典といえる“Roll Over, Beethoven”“Sweet Little Sixteen”“Rock 'N' Roll Music”、そして不朽の名曲“Johnny B. Goode”、その他の数々の名曲を生みだした。彼の音楽は、'60年代にキラ星のごとく現れたBeatles、Rolling Stones、Beach Boysなどの大物グループのサウンドを形作り、大勢のミュージシャンにカヴァーされた。多くのロックのスタンダード曲が今でも息づいているのは、彼の業績によるところが大きい。

Berryは、セントルイスの教会の聖歌隊で歌い始め、10代でギターを演奏するようになった。その後、強盗罪により'44年から'47年を刑務所で過ごした後、昼間は美容師、夜はセントルイスを拠点とするChuck Berry Comboでブルースギタリストとしての生活をはじめる。'55年、Berryはブルースの巨人、Muddy Watersにプロとしてのアドバイスを請い、WatersはChess Recordsのオーナー、Leonard ChessをBerryに引き合わせた。ChessはBerryの持ってきたデモテープを聞き、“Ida Red”という曲のタイトルを“Maybellin”に変更するよう進言した。こうしてBerryはChess Recordsと契約を交わし、リリースされたその曲は、Berryの初のトップ10ヒットとなった。

BerryがChess Recordsに在籍していた30年間('66年にいったんMercuryに移籍するが、'70年には再びChessへ戻る)で世に送り出したヒットの数は、目を見張るものがある。ヒットチャートに登場したシングルの数が27曲、そのうち10曲がトップ10入りを果たした。しかし、Berryのヒットチャートの歴史は、常に皮肉に満ちたものだった。彼の最大のヒットとなった、'72年発売の“My Ding-A-Ling”は、目新しい趣向を凝らしているが、決して彼のサウンドを代表し得る曲ではない。また、唯一アルバムでトップ10入りした同年発売のゴールドディスク『The London Chuck Berry Session』は、Chessがブルースアーティスト(Walters、Howlin' Wolf、Bo Diddleyなど)をフィーチャーして発売した一連のシリーズものの中の1枚に過ぎない。

ロックンロール黎明期のころからすでに有名人だった彼は、初期のロックをテーマにした映画『Rock, Rock, Rock』('56)、『Mister Rock And Roll』('57)、『Go, Johnny, Go』('59)、そして、ドキュメンタリーの名作『真夏の夜のジャズ(Jazz On A Summer's Day)』('60)や、伝説的なポップ狂想劇『The TAMI Show』('65)などに出演している。また、Berryの名声は、音楽以外のところでも高まっていった。彼のキャリアを通じて、彼の起こした違法行為の数々は、多大な宣伝にもなった。最も有名になったのは、'59年にマン法違反により、連邦刑務所で2年間の服役を命じられた事件。その20年後、Berryは脱税の罪で100日間を刑務所で過ごし、その後も事件を起こし続けた。

Berryの華やかな生活は、彼自身の筆による『Chuck Berry: The Autobiography』と、'87年にTaylor Hackfordによって製作された映画『Chuck Berry : Hail! Hail! Rock 'N' Roll』に詳しく描かれている。特に後者は、Berryの60歳の誕生日を祝うコンサートの模様が描かれており、Keith Richardsを音楽監督に迎え、Berryに敬意を表するEric Clapton やEtta James、Linda Ronstadtらが、その他のゲストスターとともに集結している。'88年、MCA Recordsは、Berryの代表作をすべて網羅した71曲入りの豪華なボックスセットを発売した。おそらくBerryに関する記録という意味では、このボックスセットこそ最も注目すべきものだ。なぜなら、これは1つの文化を形成した音楽と、そのサウンドを形成した1人の男のポートレートだからである。ロックンロールに関して知っておくべきことの全部が、この中にあるといってもいいだろう。

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