プロフィール・バイオグラフィ・リンク

Adam Stephens : Vo, G (right)
Tyson Vogel : Drums, Vo (left)

2002年にサンフランシスコで結成されたトゥー・ギャランツは1981年生まれのAdam Stephens / アダム・スティーヴンス(ボーカル、ギター、ハーモニカ)と1980年生まれのTyson Vogel / タイソン・ヴォーゲル(ドラム、ボーカル)による二人組。サンフランシスコ出身で5歳のときからの幼馴染みであり、12歳からともにバンドでプレイしている。

ジェイムズ・ジョイスの作品「ダブリン市民」の第六章「Two Gallants」からバンド名をとった「トゥー・ギャランツ」はサンフランシスコのBART(Bay Area Rapid Transit)の駅、バス停などのストリートや、友人やそのまた友人の家のキッチンでライブ活動を始めた。

「ストリートでゲリラ的にライブをすることはとても自然なことだったんだ。だってバス停の電源にアンプのコンセントを差し込めば、市からタダで電気を使えたんだから。」(アダム)「ライブはもちろんタダだし、行き交う人々の生活の息吹が感じられる中に音楽があるっていうのがストリートライブのいいところさ。」(タイソン)噂が噂を呼び、最大数百人規模の観客が集まるようになるとさすがに警察も放っておくことが出来なくなり、現在では演奏を始める前に警官が干渉し、ストリートライブはなかなか行えなくなっている。

2002年12月、アメリカ北西部をまわる初の本格的なツアーを行うと、翌2003年には60日間にわたる全米ツアーを2度敢行、コアな音楽ファンならびに音楽評論家の間で注目を集める存在となった。翌2004年2月にサンフランシスコで開催されたNOISE POP 2004に出演、10年以上の歴史を持つこのフェスティヴァルでの圧倒的なパフォーマンスと、6月にAlive Recordsよりリースされたデビューアルバム「The Throes」(ザ・キラーズのプロデュースで知られるJeff Saltzmanがプロデュース)により、彼らの評価は決定的なものとなった。その噂はイギリスにも飛び火し、NME、ROUGH TRADEが「The Throes」と彼らのパフォーマンスを絶賛。2005年夏にはReading Festival、Leeds Festivalという二つの大きなフェスティヴァルに出演を果たしている。

トゥー・ギャランツはギター、ドラムという編成からホワイト・ストライプスと比較されることが多い。ともにブルースの影響を色濃く感じさせるバンドだが、トゥー・ギャランツは、デルタブルース、フォークミュージックというアメリカの伝統的な音楽とインディーパンクのエネルギッシュなメンタリティーを、より強く併せ持っているといえるだろう。フォーク的なフィンガーピッキングを多用するアダムのギター、メロディアスなタイソンのドラムプレイも、ホワイト・ストライプスとは違う個性を生み出している。「フォーク・パンクの吟遊詩人」、「初期のボブ・ディランがライアン・アダムスとスタジオに入ったなら、と想像させる音楽」、「ブルース・スプリングスティーンが、アルバム『ネブラスカ』のスタイルで音楽をやり続けていたならこのような音楽が生まれていただろう」といった賛辞の言葉が音楽メディアから贈られていることからも、現代における新しいアメリカン・ミュージックの担い手としての期待の高さが伺える。

その音楽性と同様に、アダムが紡ぐ歌詞/物語にも高い評価が与えられている。失われてしまった栄光、果たされなかった約束、どこかで軌道をそれてしまった恋愛や人生への深い後悔、酒への耽溺、社会からの疎外感と放浪への憧憬といった現実の厳しい側面を、感傷に陥ることなく描く彼の世界は、作家ではレイモンド・カーヴァー、リチャード・フォード、ジャック・ケルアックに、ソングライターとしてはボブ・ディラン、ウディー・ガスリー、グレイトフル・デッドのロバート・ハンターに比して語られるほどだ。トゥー・ギャランツは音楽、歌詞ともに極めて「アメリカ的な」要素を備えたアーチストとして歓迎されており、さらに中西部や南部ではなくサンフランシスコから彼らのような才能が生まれてきたことは特筆に値するといえるだろう。

2006年2月、日本でサイドアウトレコーズから、セカンドアルバム「ホワット・ザ・トール・テルズ」をリリース。同年のサマーソニック06で初来日を果たし、そのライブパフォーマンスは各方面から絶賛された。2006年はトータルで200本に及ぶライブを行いながら曲作りを行い、2007年6月、EP「The Scenery of Farewell」をリリース。そして最新作「Too Gallants」は、プロデューサーにMars Volta、At the Drive-In、Locustで知られるAlex Newportを迎え、鋭さと憂いが同居する激しくも切ない歌は聴く者の胸に強く、深く響く素晴しい作品に!