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Barry Mann といえば60年代に Cynthia Weil とのコンビで数々のヒットを生み出したアメリカン・ポップスを代表する作曲家だが、シンガーとしても現在までに5枚のアルバムを発表している。そのうち "幻の名盤" 扱いだった70年代の2枚のアルバムがやっとCD化され、往年のポップス・ファンだけでなく新たな世代にも注目を集めているようだ。 Barry Mann は'39年2月9日、ニューヨークのブルックリンで生まれる。趣味として作曲を始めたのは12歳。高校は Carole King も通っていたというジェームス・マ ディソン・ハイスクール。そして建築を学ぶために大学に行くがすぐに中退。2年ほどクラシックを学んだ後、自作曲の売り込みを始める。'58年 Bobby Pedrick Jr. に書いた「Stranded」が初めてレコード化され、初ヒットは翌'59年、The Diamonds の「She Say (Oom Dooby Doom)」で全米18位まで上昇。その年には歌手デビューも果たしている。また同年秋にはニューヨークの音楽出版社、アルドン・ミュージックとスタッフ・ライターとして契約し、Steve Lawrence「Footsteps」(7位)、The Paris Sisters「I Love How You Love Me」(5位)、Teddy Randazzo「The Way of a Clown」(4位)などヒット曲を量産し始める。 '61年 Mann は ABC パラマウントから歌手として再デビューし「Who Put the Bomp」が全米7位の大ヒットになる。同名のソロ・デビュー・アルバムも制作された。Cynthia Weil と運命の出会いを果たし結婚したのもこの年だ。記念すべき Mann=Weil の初ヒットは Tony Orland の「Bless You」で、Mann の本当の底力が発揮されるのはこのコンビを組んでからだった。'63年に The Drifters によって大ヒットした「On Broadway」辺りから、メロディが持つ豊潤さ、ドラマチックな構成力を武器に凡百のロックンロールからの脱皮を目指し始めたのだ。そして'64年の The Ronettes の「Walking in the Rain」や Gene Pitney の「I'm Gonna Be Strong」などを経て、遂に翌年 Mann 本人もモスト・フェイヴァリット・ソングだと言い切る The Righteous Brothers の「You've Lost That Lovin' Feelin'」で一つの作曲スタイルを完成させた。メロディ自体が大きな広がりを見せる Mann=Weil の曲調は、分厚いアレンジの Spector 作品にもよく映えたのである。 The Beatles の登場をきっかけとして、音楽の形態や流行が大きく変わりアーティスト自身が曲を作り歌うようになった。そのためプロのソングライターが活躍する機会が年を追って減少していったが、そんな中で Mannは孤高の作家として The Monkees 、Paul Revere & The Raiders 、The Animals 、The Vogues など60年代後半のアーティストにもにヒット曲を提供していく。70年代に入ると B.J.Thomas の「Rock and Roll Lullaby」という珠玉の名作も生まれた。 歌手としては「Who Put the Bomp」以降、何と11社ものレーベルでコンスタントなレコーディング活動を続けていくがヒットとは無縁であった。しかし'71年に旧友Carole King のシンガー・ソングライターとしての成功に影響され制作された『Let It All Out』や、'75年のBruce Johnston との共同プロデュースで制作された『Survivor』は、温かみと歌への情熱とに溢れた傑作だった。 '86年の映画『アメリカ物語』の主題歌「Somewhere Out There 」でグラミーの最優秀楽曲賞を受賞したり、'97年にも ティーンズ・グループHansonにヒット曲を書いたりと、現役の作曲家として今もなお新鮮な作品を生み続けている。