ニュース・最新情報

プロフィール・バイオグラフィ・リンク

90年代半ばのパンクブームの絶頂期に、彼女の従来のファン層以外の人々が注目し始めたとき、Ani DiFrancoは逆に冷静になっていた。自らをRighteous Babe(Aniのレーベル名でもある)と呼ぶ従来からの彼女のファンは、忠実にも決して離れていくことはなかった。メインストリームから外れた人々を少なくとも一時的にはファンとして引きつけることのできるパンクスたちよりも、さらに疎外された環境から這い上がってきた彼女は、コーヒーショップ巡りのアコースティックプレーヤーとしてキャリアをスタートさせねばならなかった。だが自身の名義でセルフプロデュース/セルフリリースのレコードをいくつか出し、多くのツアーをこなし、24歳にして熟練したツアーのベテランと認められるようになったころ、DiFrancoは多くの信奉者を抱えるカルトヒーローになっていた。

ニューヨーク州バッファロー出身でバイセクシャルを公言するDiFrancoは、20歳の時に自身の名前をタイトルにしたデビューアルバムをリリースした。彼女のアルバムは間もなくスタジオ技術に長けたものとなり、独特のスタイルも早くから確立されている。つまり、ざらざらとしたクルーナーヴォイスで、闘争的なギターストロークに乗せて怖れを知らない率直さを聞かせる女性ソウル歌手というスタイルだ。

DiFrancoの最も優れた楽曲は、彼女自身が破滅的、かつくだらないほど民主的だと認める恋愛関係についての作品だ。ライオットガールの仲間と同じように彼女も、文字通りと比喩的な意味の両方でf**kされることで強さを感じるのだ。大きな成功を収めたライヴアルバム『Living In Clip』をリリースするころには、聴衆もまた、彼女の歌から力を得ているということが明らかになっていた。DiFrancoはメジャーに身売りすることなく、雑誌の表紙を飾るようになり、アリーナを満杯にし始めた。フェミニストのアイコンとして語られることも多いDiFrancoだが、彼女はそれよりもずっと複雑な存在であることは間違いない。自己嫌悪に満ちる一方で、情熱的なヒューマニストでもある彼女は、性愛の追求をも中断できるほどの意志の強さを持つ女性で、そのことを弱点だと認めるほどの道徳的な良心をも備えているの。彼女ほど、多くのレベルで意味を持つロマンスの歌を書くアーティストは他にはいない。『Dilate』のタイトル曲において彼女は恋人に次のように語りかけている。「私があんたの前で降伏するわけはないわ/あんたに懺悔を聞かせることもないわ/だって私に何にも残してくれなかったもの/あんなにつくしたっていうのにね」