「風待ちジェット/スピカ」インタヴュー

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――シングルのリリースは13ヵ月ぶりになりますが、この1年間はどんな1年間でしたか?  坂本:ほんとに、刺激的なというか、いろんなことが新鮮だった1年ですね。去年の5月に「ループ」というシングルを出した後は、アルバム(『夕凪LOOP』)の制作に入って。そのアルバムもシングルも、それまでとは違う環境での制作だったので、新しく出会うミュージシャンやクリエイターの方とのコラボレーションが続いたんですね。16歳で歌手デビューして、歌を長いことやってきたつもりだったんですけど、自分がどういう歌い手で、どういうことがしたいのかっていうことを改めて考えた時期でした。  ――その、環境が変わった、自ら変えていった部分もあったと思いますが、そうしたアルバムをもって人前で歌ってみてどうでした?  坂本:すっごく楽しかったですね。ファンクラブ限定のライヴではあったんですけど、6ヵ所ツアーを廻って、そのほかに六本木ヒルズでフリーライヴもやって。今までライヴをしょっちゅうやってきたわけではないんですけど、自分の中で心底ライヴを好きになったのって最近なんですよ。歌うことも作詞も好きだけど、ステージに立って歌うっていうのはまた別で。演劇をやっていて演じる自分がずっといたから、役者として何かを演じながら舞台に立つのはいいんだけど、自分のままでステージに立つのはちょっと恥ずかしいというか、どうしたらいいか分からないっていうのがあって。なんか、持て余す感じがあったんですよね。でも、去年のライヴで回を重ねながらだんだんわかってきたこともあって、いろんなことが腑に落ちたというか。 “明日はできないかも”って思うくらい、その日のステージでは出し切るんだけど、次の日はさらに階段を上がれてるような、育っていく感じというか。どんどん別の景色が見えてくる感じで。短い期間にギュッとライヴを詰めてやるって大事だなと思いましたね。  ――なるほど。そういういろいろな変化を経てでき上がったのが今回のシングル「風待ちジェット/スピカ」ということで。「風待ちジェット」は『ツバサ・クロニクル』のテーマ曲として書き下ろしたものだそうですが、通常の曲作りと違う部分はありますか?  坂本:原作を読んで、作品に合うものを意識して書きますけど。でも、自分が今歌いたいことから離れたらイヤだし。たまたまツアーが終わった直後からこの曲の制作に入ったので、すごくいろんな刺激を受けてアドレナリンがいっぱい出ている状態だったから、詞もすごく早く出てきたんですよ。今、自分がポジティヴな気持ちになっているっていうことや、こんなことが言いたいっていうことと、『ツバサ~』という作品の世界が持っているものの、ちょうど良い加減のところを早く見つけられたので。あんまり、いつもと違うことをやっているっていう気もしなかったし、すごく素直に両方のテイストを混ぜることができたと思ってます。アレンジに関しては、アニメーションの世界感とかエンディングのポジションを若干イメージして、“キラキラ多めのファンタジー風味”みたいなことは意識しましたけど(笑)。

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