『雅-みやびうた-歌 ~独奏~』インタヴュー

ポスト

 

 

――なるほどね。

雅:自然と今回のようなものができるようになった過程には“ラブソング”というものがあって。愛を歌うってこと自体、オレは抵抗があったわけ。4~5年前、今回のタイトル“雅歌”というのを思いついたときは、雅歌って聖書の中で唯一の愛の歌なんですけど、そのときは“まだ歌えねぇな”と。でも今は照れも、てらいもなく“愛してるよ”って言える自分がいるから。そういう部分で表現者として今なら歌えるなと。そう思ったときに自然と手にしてたのがアコースティック・ギターという、オーガニックなものだった。これだけインターネットでショッピングできたり文明が進化しても、メシ食うのも抱き合うのもキスするのも全部アナログだから人間がアナログな以上、そういう意味ではアナログの深みっていうか、温かさっていうのは、人間が人間である以上なくならないんだなーっていう気はすごくする。

――うんうん。だから本作はプレーヤーとしてエゴイスティックなギター・アルバムであると同時に、そういうアナログ感がすごく人間臭さを生んでるアルバムでもあると思うんですよ。

雅:そうだね。

――本作には1曲目と11曲目にインストも収録されてますが、ここはまさにプレーヤーとしての自我出まくりのパートですよね?

雅:手クセだから、これは(笑)。

――5曲目の「僕は知ってる。」や9曲目の「We love you ~世界は君を愛してる~」、10曲目の「“愛してる”からはじめよう」なんかは、前作『MYV☆POPS』で培われたコンポーザーとしてのポップ・ソングを作り出す表現力と、ヴォーカリストとしてスキルアップした声で聴かせる音楽ですよね。アルバムの流れの中でいろんな愛の形を表現しながら、11曲目で雅くんなりの愛に対する結論をも提示していて。プレーヤーアルバムであると同時に、これはれっきとした歌モノアルバムでもあるというところが、また新しい。

雅:実際ホントそうで。ギター・アルバムという観点で考えると“玄人好み”っていう部分があると思うんスよ(笑)。でもこのアルバム、楽曲的にはすごいポップなんですよ。ラブソングだから普遍的だし大衆的で。それは『MYV☆POPS』で得たところでもある。

――プレーヤーという部分では雅くんの弾き語りに、和太鼓やタップダンサーなどがコラボしているというのも面白かったです。

雅:独奏だけで全曲成立するんだけど、独奏だけだとおもしろくないというかCDとか、音だけだと特に飽きちゃうんですよ。音の起伏がないと。だから独奏という軸がありながら、アレンジメントという部分で入れてみました。ギターってハーモニーも出せるし、リズム楽器にもなれるんですね。そういうギター自体のアイデンティティーもこのアルバムで感じてもらえたらなあと思うな。いずれにせよ、これが自分らしくいられるスタイルではあると思うので。今回の作品は新しい自分の名刺。“自分こんなんです”って言えるものにはなったかなー。

――アルバム発売後には<東京芸術劇場5days~独奏~>が開催されますね。

雅:このアルバムを具現化するだけです。今回あえて“独奏”と言っているので、自分にとってもこれは挑戦的ではあるんだけど、なによりも音を楽しみたいと思ってる。みんなにも音を楽しんでもらえたらなと。おめかしして来て! 正装ね(笑)。 場所も場所なんで。音楽家として、アーティストとして新しいものになると思うから。オレからしたら“見逃してみろ”って感じです(笑)。

取材・文●東條 祥恵

⇒雅 特集TOP

 
 
この記事をポスト

この記事の関連情報