女性ジャズ・ヴォーカリスト特集 ゾンケ TOP

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『ソリタリー』
COCB-53585 \2,625(tax in) 2006年12月20日発売
 【収録曲】  ♪試聴できます

01.Listen
02.Better Days
03.Wena Wedwa ♪
04.Groove Train
05.I Wanna Thank You
06.Someday ♪
07.Only You
08.Soulitary
09.It’s Love ♪

10.Phaphama ♪
11.How Long
12.Across 110th Street
13.Take Me There
14.Ngena
15.Walk On
16.How Can I Say
17.Music
18.Someday(Remix) ♪

 
 

ゾンケの作り出す音楽は、ジャズといっても、狭い1つのジャンルにカテゴライズされるものではなく、肩肘張らないでリラックスして聴けるポップなサウンドが持ち味。ファンク、ソウル、レゲエ、R&Bの要素が混じりあい、そこに英語とコーサ語がブレンドされた不思議な響きが心地よい。ゾンケの創作する曲の水準の高さは、身近にある音楽のエッセンスをすべて吸収し、自分の基礎として咀嚼しつくしたところからくるのだろう。もちろん、曲もさることながら、ゾンケ自身の持つ声は何物にも変えがたい魅力だ。このグルーヴと存在感ある声を楽しみたい。


 

このアルバムを耳にすれば分かって頂けると思うが、実に洗練されたアーバン・スタイル・ミュージックで、ブランニュー・へヴィーズやインコグニートといった欧州のジャズ・ファンク・グループを連想させるようなサウンドは、むしろ都会的感覚を抱いてしまうほど。まさに“極上”という形容詞がぴったりくる、心地良く味わい深い見事なジャジー・ソウル作品。その生命力に溢れた瑞々しい歌声のなんと美しいこと! ゾンケは、“スターになるべくして生まれた歌姫”と賞賛を浴びる逸材なのだ。ファンク、ソウル、ジャズ、レゲエなどのエレメンツを散りばめた極上サウンドは、いつまでも聴いていたくなるような何とも居心地の良い逸品で、ヨーロッパのラグジャリーなクラブにいるような感覚を抱かせる。どの曲も日本のFM局などでヘビースピンされそう。しかも、かなり人気になりそうな予感がヒシヒシと感じ取れるのだ。ヨーロッパ、アフリカはもとより、ここ日本でもゾンケの音楽は確実な評価を得ることだろう。なにせコノ聴き心地の良さは、彼女にしか創り出せない特別なモノを秘めているのだから。 TEXT by 池田貴洋(タワーレコード)


  

●ジャズにヴォーカルは不要?
今でこそヴォーカルはジャズの花形のひとつになっているが、当初はヴォーカルはほとんど影の存在といってもいいくらいの立場。ビッグバンドは強靭なビートやドラマチックな曲展開、少人数編成のコンボスタイルなら緊張感あるバトルやアドリブを聴かせるのがメインで、ヴォーカルはあくまで添え物といった雰囲気だった。それを一変させたのは、サッチモの愛称で知られるルイ・アームストロング。ヴォーカル・ジャズの始祖と言われる人物だ。彼のトランペットと同様に奔放で豪胆で愛嬌のあるヴォーカルには、ちょっとしたソリストでもかなわない表現力があり、ヴォーカルがジャズの重要な要素となりうることを証明してみせたのだ。その後パワフルでパンチの効いた歌声のビリー・ホリデイや、ムーディな魅力たっぷりのフランク・シナトラのようなカリスマシンガーが次々に登場。シンガーがビッグバンドやフルオーケストラを従えるというスタイルも当たり前になった。この黎明期のヴォーカル・ジャズは、情感があふれていて本当に素晴らしい。今聴いても胸に迫ってくる熱さ、重さは、時代を変えたアーティストならではのものだろう。

●日本の女性ジャズ・ヴォーカリスト
70年代になって、日本の女性ジャズ・シンガーも注目を集め始めた。このときシーンを牽引したのが阿川泰子だ。78年のデビュー直後から甘い歌声と端正なルックスで人気を集め、スタンダード曲集の『ジャーニー』、さらにラテンを取り入れた『サングロウ』などがジャズの枠を超えて大ヒット。これ以降女性ジャズ・シンガーは活動範囲を広げ、TVなどにも進出するようになった。最近もっとも人気のあるシンガーといえば、綾戸智絵だろう。ゴスペルの影響を感じさせる情熱的な歌声での弾き語り、そして関西のオバハンそのままの強烈なキャラクターで人気が沸騰している。最新作は『SEVEN』で、ジャズのスタンダードナンバーから70年代ロックの名曲までを、独特の綾戸スタイルで楽しめる作品だ。鈴木重子も、マスコミへの露出度が高いシンガーの一人。東大法学部卒という異色のキャリアを持つ彼女は、ニューヨークの名門クラブ、ブルーノートでデビューライヴを行なうなど、早くからその才能を認められていた。最新作の『サイレント・ストーリーズ』では、「蘇州夜曲」「シェルブールの雨傘」などポップなナンバーを、デビュー以来一貫して“癒し系”を貫く彼女の優しく艶やかな歌声で楽しめる。

 
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