中村 中の生き様がここに。衝撃の1stアルバムを赤裸々に語る<INTERVIEW>

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――魂がこもった作品でした。だからこそ、聴いててズシンとくるんだけど、それがきた後にちゃんと前に向いて生きていこうって気持ちになる。そこがまず、このアルバムのすごいところだなあと思いました。

中村:生きていこうという気持ちは、もしかしたら私自身にものすごくあったのかもしれない。このアルバムの一番根本のテーマは“若さ”なんですね。迷いながら失敗したり、もちろんいいこともして、たまには泣いたりしながら生きていこうっていうことをアルバム全体で表現したかったんです。

――このアルバム・タイトルにはどんな意味が込められているんですか?

中村:『天までとどけ』というタイトルは、1曲目の「駆け足の生き様」の歌詞からとったんですけど。“天”というのは対社会という意味なんです。ちっちゃい頃は大人の人たちがすごく怖いものに見えてました。ホントはやさしさだったりするんですけど、それが圧力をかけられているように思えてしまって。そんな大人に頼るよりは自分の足で歩くことが正しいと思ってやっていて。そこではいろんな間違いをしながらも、それでも私はちゃんと“愛”の名の下に生き、愛するために、愛されたくて生きてきた。それが本当に正しいかどうかは大人になったら分かると思うんですね。それは自分で気づくことだと思うんです。

――なるほど。

中村:なのに“今それを選んだら間違いだよ”って、大人に言われたくないし、迷ってる姿まで悪く言ってほしくなくて。で、この『天までとどけ』ってのは、それでも私たちは生きようとしてるんだ! っていう気持ちを社会に向かって歌ってるんです。人に従ってしまったら生きてる心地がしない、だから自分で迷いながらも生きていく。そんな気持ちがアルバム全体にもあって、それが“若さ”という匂いになっている。そこからアルバムの最後にいくに従ってだんだん大人になっていく姿を表現したかったんです。その後半の部分に生きたいと思う力がぎゅっと凝縮できたからかもしれない。聴いてドシンとした後に前を向いて生きてかなきゃって思ってもらえるのは。

――中村さんがAAAに楽曲提供してた「チューインガム」は真心、感謝の気持ちを歌ったやわらかいタッチのものですね。こういう歌も書こうと思えば書けるんですよね?

中村:実は、今の自分はこのような優しい気持ち、人の真心のありがたさを歌にしたかったりするんです。でも、1stではあえてこの迷っていた時期の“若さ”をやりたかったんです。ここには後には歌えなくなる歌がいっぱいあるんですよ。遅くなればなるほど、リアリティが薄れていくと思うんです。今ふわっとした優しいものを歌いたいと思えるのも、その前にそういうトゲトゲしていたものがあったからこそだし。最初にこれをやらないと自分のなかでもリアルじゃなかったんですね。だから、この1stで後からどんな歌をのせても崩れない、自分の地固めをしたんです。

――リアルへの追求がめちゃくちゃ丁寧なんですね。

中村:例えば、一番いい例を上げると「さよなら十代」。これは私が10年20年経つと形が変わってしまって、ちょっと説教臭く聞こえてしまう気がするんですね。だから、いま成人して1年経ってしまいましたけど、このアルバムに入れたかったんです。成人を迎えたばかりの若い世代だって、ちゃんとこういうことに気づいているって、手を上げたかったんです。

――「さよなら十代」はまさに決意ソングですよね。これから生きていくという。

中村:決意はありますね。初めに迷っている姿を描いて、曲が進むに連れて途中で恋もし、悲しいこともあったけど、いろいろ経験して大人になるってどんなことだろうとか、もう決して私は子供ではいられないんだなと思ったのがこの曲なんです。一番聴いて欲しい曲ですね。みなさんに。

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