JUJU、アルバム『Open Your Heart~素顔のままで~』インタビュー2

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渡米と新しい発見を語る
“NYって実はメロウな街で音楽が溢れているのが好き”

――そもそもNYには、ジャズシンガーを目指して18歳で行ったそうですね?

JUJU:小さいときから色々な音楽を聴いていたので、とくにジャズシンガーが目標ということでもなかったんです。とにかく留学したくて高校卒業を機にアメリカに行くことにしたんですが、海外ならパリでもどこでもよかった。でも洋服にしても、当時の東海岸のヒップホップにしても、もちろんジャズにしても、NYには当時の私の好きなものがすべて詰まっていたので。

――アメリカなら西海岸側にも音楽の拠点があるけど、ウェストコーストジャズにはあまり興味がなかった?

JUJU:私、太陽が似合うタイプじゃないので(笑)。太陽はサーフィンするとき以外は仲良くない。夜型なんです。

――サーフィンするなら西海岸なのでは?

JUJU:サーフィンだけ考えたら西海岸がいいかも(笑)。でもそれ以外を考えると、NYの夜とか東京の夜とかのほうが私には似合ってる。NYの変な孤独感みたいなのも好き。その頃ちょうど流行ってた90年代のヒップホップのダークな感じも好きだった。逆に西海岸の音ってその頃シンセばりばりで、抜けた明るさが好きじゃなかった。唯一ウェイン・ショーターだけかな、西海岸で好きなのは。でもウェイン・ショーターも西なのにすごい暗い世界だったりするんですよ(笑)。

――NYに行ってからデビューまでの10年間はどんな活動を?

JUJU:DJ HIROnyc、E-3、それに私という、今の3人のチームが決まるまでは、ファンクとR&Bとストレートなジャズの3つのバンドを掛け持ちして、毎月最低でも9本くらいライブをやりながら、デモ曲をためていくという生活でしたね。デビューとかあんまり考えてなくて、その生活がすごく楽しかった。お金になるわけでもないんですけど、NYってなんとかなっちゃうんです。

――すごいミュージシャンとも競演してきたそうですね?

JUJU:色々いたけど、たぶん一番のビッグネームは、ジャズギターのマーク・ウィットフィールドですね。ジミー・スミスのギターをずっとやってた人で、最後のジミー・スミスの来日公演にも来ていた人。ジョージベンソンの弟子みたいな人です。

――日本よりNYのほうがいいと思うのはどんなところ?

JUJU:音楽があふれてること。ジャズが聴きたいなと思ったら、家から5分のところにすごい演奏してる人がいたりする。それも日本だったら8000円払わなきゃならないところを5ドルで見られる。今、ブルーノートから30秒くらいのところに住んでるんですけど、ブルーノートだって高くても60ドルくらいだし。それに、自分が何かをやりたいときに、すぐにいいミュージシャンを集められたりする。あとは住みやすいところですね、ホントに楽な街なんで。NYって速いイメージがあると思うんですけど、実はメロウな街で、ゆるーく楽に息をして生きられる街なんです。ただ唯一難点は食べ物(笑)。日本のほうが絶対おいしい。

――日米でリスナーの違いを感じることはありますか?

JUJU:ライヴだとホントにアメリカはシビア。初めてNYで歌ったときはすくみ上がるくらいだった。向こうって、最初に出てきたときには誰も注意を払わなくて、演奏がひどければ大声で話し続けてたりするけど、いいものに対しては普通のお客さんでもちゃんと評価してくれる。日本のお客さんは優しいですね。やる側からすると、暖かいなあといつも思います。

――最後に、このアルバムをどういう人に聴いてもらいたい?

JUJU:ちょこっと疲れてる人に聴いてもらって、生きてるって実は楽しいかも、って思ってもらえたらすごくうれしい。私たちもこれを作ってる過程ですごく楽しかったから。どんな人でもなにか一つひっかかるところがあればいいなと思って作ったので、年代を問わず、音楽が好きだろうが好きじゃなかろうが、ほんとに多くの人に聴いてもらいたいです。

取材・文●田澤 仁

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