salyu、10thシングル「iris ~しあわせの箱~」インタビュー

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――いや、とても神聖な感覚を受けましたから、むしろ言葉に出来なくていいんだと思いますよ。ちなみに、この“iris”というタイトルは、どこから来てるんです?

Salyu:花言葉からですね。アイリス=あやめの花言葉が“伝言”“消息”“愛しています”というもので、ホント一貫性が無くてバラバラなんですけど、その全てを結び、全てが作品とシンクロしているストーリーだったので、「iris~しあわせの箱~」と名付けました。

――おまけに主題歌だけじゃなく、声優にも初挑戦してるんですよね。

Salyu:はい。声優も憧れだったので、今回いいチャンスだと思ってお願いしてみたら、わざわざ台詞の無かったキャラに出番を作ってくださって。ローズ夫人っていう、お金持ち風の太ったオバさんなんですよ(笑)。太ったオバさんの特徴って何だろう?って、すごく考えたし、何より衝撃だったのはテンションでしたね! 役に声を吹き込んでいくという点で声優と歌は似ているけれど、一人の声だけで完成させなきゃいけないから、その押し上げるエネルギーが凄いんですよ……って感慨深そうに語る割には、それほどのことはしてないですけど(笑)。まぁ、上手くいったと思うので、ぜひ聴いてほしいです。

――頑張ってローズ夫人が登場するまでプレイします(笑)。そして、カップリングの「WHEREABOUTS~for Anthony~」も、ひょっとして『レイトン教授と悪魔の箱』とリンクする世界観の曲なのでは?

Salyu:そうですね。作品に登場するアンソニーというキー・パーソンに捧げる、という意味で作った曲と歌詞で。さっき話した“悲しみは悲しみとして、最後はちゃんと悲しみに還してあげるべきだ”というフレーズがサビに起用されてますし、まったく同じテーマを持ちつつも、「iris~しあわせの箱~」とは違う視点の曲ですね。“乾き”というところに重点を置いているので寂しげな印象は強いですけれど、でも力に満ちた作品だと思います。それからクリスマスも近いし、3曲入りのスペシャルな感じにするのもいいかなぁと思いまして、3曲目でジョニ・ミッチェルの「River」もカバーしました。だから今回のシングルは、私の中で一つのプレゼント的なイメージの作品なんですよ。

――しかも、同日にリリースされる初PV集『Salyu Clips 2004-2007』というプレゼントまであるじゃないですか。全10作どれもこれも斬新ですが、あえて一つオススメを挙げると?

Salyu:このPV集はプレゼントというより、一つのタームを終えたタイミングでのまとめ的意味合いが強いので、思い入れということに関しては順位を付けたくないですね。エピソード的には、どのPVでも結構体を張ってきてるんですけど、中でも「Peaty」では“初めて飛んだ日”というのがありまして。撮影の2週間くらい前に、監督から“相当な腹筋がいるから覚悟しとけ!”って言われたと思ったら、皮のブルマみたいなの履かされて2本の針金で吊るされたんですよ! その状態でバランスを取りながらニコッと笑わされたり、“妖精みたいに片足曲げてみて”とか言われたり。もう、“ふざけるな!”と。

――メチャメチャ楽しそうにしか見えなかったのに、そんな裏があったとは!

Salyu:まぁ、エキストラの方たちと一緒に制服着たり、確かに楽しかったですけどね(笑)。それに監督を始め、衣装、ヘアメイク、セットにしても、素晴らしいアーティストたちと出会えて良い作品を残せたという誇りは素直にあります。

――アナログなファンタジー感を筆頭に、どの曲もクオリティが高くて独特な世界観が出ていてますものね。さらに来年には、3rdアルバムもリリース予定だとか。

Salyu:そうなんですよ。まだ制作中なのでハッキリしたことは言えないんですけど、一つの大きな特徴として、Salyuが全曲の歌詞を書いているということは、まず約束できますね。ソロ・デビューから約4年で築いてきた、もしくは掴もうとしている自分のスタンダードはどういうものなのか? それを今一度考えてみたいと思ってるんです。だから、やっぱりキーワードは“スタンダード”かな。

――やはり、今後は自発的な発信というものが大きなテーマになりそう?

Salyu:むしろ、私の中ではスタンスが一つ増えたという感じですね。今まで言ってきたところの“ミュージカル女優的スタンス”――ある大きな作品に参加させてもらうという在り方、素晴らしい楽曲や詞に触れて、それを表現させてもらうというスタンスを失う必要は勿論どこにもないし、これからも機会があれば努めてやっていきたい。ただ、自発的に自分自身の見せ方をコントロールしていく“セルフ・プロデュース的スタンス”が一つ増えたので、今回はそっちをするっていう捉え方ですね。なので、これからも両方のスタンスに誇りを持ちたいし、そのつもりでやっていきたいと思っています。

取材・文●清水素子

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