野球に例えるなら、ドラフト1位クラス! ミシェル・ブランチ シークレット・ライヴ

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野球に例えるなら、ドラフト1位クラス!
ミシェル・ブランチ シークレット・ライヴ


デビュー・シングル「エヴリウェア」が、本国アメリカのみならず(全米最高12位)、ここ日本で、いや、世界のどこよりもここ日本で熱烈な歓迎を受け、実に久方ぶりの“日本から人気が火が突いたスター”の座を手中に収めそうな勢いの18歳の自作自演ロック少女、ミシェル・ブランチが翌年春に控えた来日ツアーに3ヶ月先行して、この日、原宿にある小さなこのホールで極秘のワン・デイ・ライヴを行なった。

このライヴの存在自体がそれほど知られていなかったにも関わらず、会場には関係者のみならず、彼女に熱い期待を寄せる、おそらくはミシェルと同世代と思しき女のコたちも数多く会場に詰め掛けていた。


自慢のよく通る伸びる声で、アルバムで聴く以上の熱唱を披露

最新 Album

『The Spirit Room』

Wea Japan WPCR-11082
2001年9月19日発売 2,079(tax in)

1 Everywhere
2 You Get Me
3 All You Wanted
4 You Set Me Free
5 Something To Sleep To
6 Here With Me
7 Sweet Misery
8 If Only She Knew
9 I'd Rather Be In Love
10 Goodbye To You
11 Drop In The Ocean
12 All You Wanted 
(アンプラグド・ヴァージョン)国内版のみボーナス・トラック


【ミシェル・ブランチ来日公演情報!】

● 3月2日(土)
ON AIR OSAKA
OPEN 17:00 / START 18:00
¥6,500(tax in,standing)

●3月3日(日)
名古屋クラブクアトロ
OPEN 17:00 / START 18:00
¥6,500(tax in,standing,1drink)

●3月5日(火)
赤坂BLITZ
OPEN 18:00 / START 19:00
¥6,500(tax in,standing)

● 3月6日(水)
赤坂BLITZ
OPEN 18:00 / START 19:00
¥6,500(tax in,standing)

● 3月7日(木)
ZEPP SAPPORO
OPEN 18:00 / START 19:00
¥6,500 (tax in, standing)
イメージランド:011-271-1180

● 3月9日(土)
福岡 DRUM LOGOS
OPEN 17:00 / START 18:00
¥6,500 (tax in, standing)
kusu music :092-791-0999


オフィシャル・サイトはこちら


▲Photo by 古渓道一
400~500人規模の会場がいい按配に埋まった7時少し過ぎに、ミシェルと4人の男性からなるバックバンドが、まだ新人らしく飾らない感じで登場。アルバム『スピリット・ルーム』の中からのナンバーを次から次へとMC少なめに歌っていった。

アメリカ・ツアーをライヴハウスと廻っていたというミシェルであるが、どうやらこのバンド・メンバーたちと一緒に演奏するのは今回が初めてだったらしく、そのせいもあって演奏自体はまだどこかぎこちなく、会場もロックのライヴをやるには部屋鳴りが響きすぎて、ドラムの音がバスンドシンと鈍く響いていたのは正直かわいそうだった。

しかし、当のミシェル自身はそんなこと一切おかまいなしといった感じで、自慢のよく通る伸びる声でアルバムで聴く以上の熱唱を披露。なるほど。ヴォーカリストとしての資質は、野球に例えると確かにドラフト1位クラスの腕前だ。

そして「エヴリホエア」をはじめとする楽曲の方も、強烈なクセや際立った特徴こそないものの、スケールの大きな聴きごたえのある正統派な楽曲で堂々としている。ただ、やたらと素材の良い歌唱力とくらべるとまだ印象が薄い点は正直否めないが、そこはまだティーンエイジャー。これから磨いて行って、ますますの成長を期待したい、といったところか。

事実、MCでの彼女は、いかにもアメリカの高校生といった感じの、はちきれんばかりの元気と笑みがチャーミングな無邪気な普通の女のコといった感じで、良い意味でまだ垢抜けてもないし。あのブリトニー・スピアーズよりも年下の田舎から出て来た少女が自分一人の力で海を超えてここまで人を魅了できるということ自体がやはり凄い。

ショー自体はアルバムの曲6曲と貴重な未発表曲1曲という、ショーケースのライヴとしては妥当な短い内容ではあったが中味は濃く、当然熱いアンコールも起こった。ファンの熱い声援に応えたミシェルは、ぶっつけ本番でアンコール曲、それも自作の曲ではなく、他人のカヴァー曲に堂々と挑戦。彼女が選んだナンバーは、ニュー・ラディカルズ'99年発表の名曲「You Get What You Give」。この曲のオリジナルのニュー・ラディカルズは、現在グレッグ・アレキサンダー名義でローナン・キーティングやロッド・スチュワートなどにヒット・チューンを提供する売れっ子ソングライターだけに、その選曲にはなかなかのお目の高さを垣間見せてくれて興味深かった。次のアルバムあたりで、ミシェルとグレッグ共作なんてものも聴ければ幅が出て面白いとも思う。

と、ミシェルの日本での記念すべき最初のライヴはザッとこんな感じでアッという間に終わった。 正直、まだまだ素材の良さだけに頼っている点が目立ち、“見せるための演出”としての部分は、彼女自身も、バンドも、スタッフも、不慣れな感じは残った。しかし、これから世界各地様々なところでミシェルはきっともまれてくることだろうし、伸び盛りのティーンエイジャーでもあるわけだ。 きっと今のうちなら、いろんな可能性を貪欲に早いスピードで吸収していくに違いない。まずはその成果を、3月の再来日の場で確認してみたいところだ。

文●沢田太陽(01/12/07)

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