『ザ・ストーリー・ゴーズ…』クレイグ・デイヴィッドが語る、過去と現在　INTERVIEW編

──前回、P.ディディーからプロデュースの申し出があったとき、時期尚早のような気がしたということですが、まだその時は来ませんか？

クレイグ：彼とは半年前、マイアミへ遊びに行ったときに偶然会ったよ。そのときも「なんか、一緒にやろうぜ」って言われたんだけど、彼と僕が同じ時間、同じ場所にいるのってすごく難しいんだ！　でも、この先そういう時間が作れたら、絶対に彼のプロデュースか彼をフィーチャーしたトラックを作りたいね。

──前作ではスティングとのデュエットがありましたが、今作でコラボは？

クレイグ：ない。今回は、クレイグ・デイヴィッドそのままっていうアルバムを作りたかったから。

──いろいろなアーティストからコラボの申し込みがあると思いますが、この先デュエットしてみたいと思うアーティストはいますか？

クレイグ：R.ケリーは素晴らしいと思うね。それにマイケル・ジャクソンも。昔からファンなんだ。彼のプライベート・ライフがいろいろ非難されてるけど、素晴らしいアーティストであることは間違いないよ。

──以前、あなたはどのアルバムも自分の人生のチャプターだと言っていますが、それぞれどんなチャプターなのでしょうか？

クレイグ：１st『ボーン・トゥ・ドゥ・イット』は、ティーンエイジャーの僕。女の子の話に興味があったな。それに音楽業界に足を踏み入れて世界中を旅するようになった。２ndは、自分が何を曲にしたいのか、改めて考え直してる時期だった。いろんな国を廻るのに、ただショウをやって移動するだけで、その国のことを何もわかってない。ホントにそうだよ、慌しい生活だった。３rdアルバムでは、そんなことを歌にしたくなかったんだ。そんな曲、誰も聴きたくないよね（笑）？　新作では、自分が何を話してるのか、ちゃんと理解してる。いじめられてたことや彼女と別れたこと、すべてを正直に話せる自分がいる。

──18歳でデビューし、いきなり高い評価を得たわけですが、当時どんな気持ちでしたか？

クレイグ：信じられない体験だったよ。何もわからない年で、いきなりレコード契約の話が来て、世界中でパフォーマンスするようになったんだ。それに、自分が尊敬してたアーティストが“君の音楽は最高だよ”なんて言ってくれた。スゴイことだったね。それがいまでも僕の原動力になってる。

──最近ではディジー・ラスカルなんかも、あなたと同じような環境の出身で同じように若く成功していますね。

クレイグ：彼はいいアーティストだ。僕よりもっとアンダーグラウンドでハードコアなシーンから出たのに、高い評価を得ることができた。彼の歌うことはリアルでストリートの生活そのものだよ。ポップとかメジャーの世界に関係なく、リアルでダークなことを歌にしてる。そこはリスペクトしてるよ。

──あなたも前作ではストリート出身ということを強調した曲もありましたが、これだけ成功した後、ストリート感覚を持ち続けるのは難しいのではないでしょうか？

クレイグ：確かにもう、そういう生活を送ってないかもしれない。でも感覚的に身に着いてるんだ。いまでもストリートで何が起きてるのか理解できるよ。アルバムをたくさん売って世界中を見てきたかもしれないけど、自分の育った環境とはまだ強いつながりを持ってる。

──最後にこの先の予定を教えてください。

クレイグ：秋から世界ツアーをスタートするよ。UK、ヨーロッパから始まって世界中を廻る。楽しみにしてるんだ。でもその前に、天気のいいうちにマウンテン・バイク買って公園の中を走り回りたいな。それとパブの庭で飲むとかさ。まだ、怠け癖がぬけてないね（笑）。

取材・文●Ako Suzuki

⇒CRAIG DAVID 特集TOP