【インタビュー】新世代のオルゴール 「Muro Box」に氷室京介モデルが登場

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世界有数のオルゴール大国といわれる台湾で開発されたMuro Box。アプリと連動させることで、自分の好きな曲をオルゴールで演奏させることができ、さらには、通常のオルゴールでは、1台につき1曲のみ演奏できるが、これもアプリを使えば、ほぼ無限ともいえるほどの曲数をオルゴールで楽しむことができるという。いわば“現代的な機能を備えた古き良き楽器”と言えるだろう。そんな最新鋭のオルゴールMuro Boxの、氷室京介モデル「KYOSUKE HIMURO “LX-60” MEMORABILIA MUSIC BOX」が登場。彼が還暦を迎えたことを記念して、氷室とMuro Boxのコラボレートが実現した。今回は、コラボレートを発案したワーナー・ミュージックの田畑麻奈美氏と、Muro Boxの日本発売を取り扱っているRelajanteの平林直樹氏に、Muro Boxの魅力と、氷室記念モデルについて話をうかがった。


■搭載しているシリンダー部分が独特で
■どんな音楽でも奏でることができる

──Muro Boxは台湾で開発されたオルゴールだそうですね。

平林:もともとは日本のオルゴールメーカーから技術提供を受けて、台湾でのオルゴール作りが始まったそうなんです。なので、技術の根本は日本のものなのですが、そこから独自の進化を遂げまして、現在では、台湾はオルゴールの生産量が世界一ですし、技術的にも世界が認めているといった状況です。Muro Boxはご夫婦で経営されているメーカーが開発したものですが、「使ってくださる方の思い出の曲を奏でるオルゴールを作りたい」という思いから、世界有数の技術を持つ台湾でならそれが作れるかもしれないと、当時仕事をしていたアメリカから母国に戻ってきて開発に取り組んだそうなんです。

──Muro Boxの特徴を改めて教えていただけますか?

平林:音的には昔ながらのオルゴール。ただ、搭載しているシリンダー部分が独特で、これによってオルゴールがもともと備えている20音の範囲内であれば、どんな音楽でも奏でることができるようになりました。このシリンダーはアメリカと台湾ではすでに特許を取得したものなんですか、技術的にはこれを開発したことが一番大きなポイントだったと思います。シリンダーは材質によって音が変わってしまいますし、シリンダー内に熱がこもってしまうと耐久性が悪くなるので、音が良く耐久性にも優れた材を見つけるのに試行錯誤があったようです。


またオルゴールはそれほど速いテンポでは演奏しませんよね? オルゴールといえば、みなさんおそらく、ゆったりとしたテンポの曲をイメージすると思います。でもMuro Boxは、この特殊なシリンダーのおかげで、BPM30から240までのテンポに対応できるんです。アプリでは、テンポを自由に設定できるようになっています。

──アプリと連動させることができることも、Muro Boxの大きな特徴ですよね?

平林:特殊なシリンダーの動きをアプリと連動させることで、さまざまな音楽を奏でることができるようになりました。アプリでMIDIファイルをインポートすることで、オルゴールで演奏できますし、世界最大のオルゴールコミュニティサイト『Music Box Maniacs』には何万曲というオルゴールの曲がアップされていて、Muro Box専用のQRコードが用意されているので、それを読み込めばすぐにMuro Boxに演奏させることもできます。また、アプリをタップする形で、自分で作曲してMuro Boxを演奏させることもできますよ。ちなみに、今、発売されているのは2018年に出た第1弾バージョンですが、これから発売になるのは、氷室京介さんのモデルも含めて、バージョンアップしたセカンド・バージョンになるんです。

──どんなところがバージョンアップしているのですか?

平林:MIDIキーボードと連結することで、直接オルゴールを奏でることができるようになりました。キーボードを演奏するとリアルタイムでMuro Boxが奏でる。HPでその演奏動画をアップしていますが、あれはキーボードが鳴っているのではなくて、Muro Boxが音を鳴らしているんです。


──キーボードの演奏がある程度できる人であれば、好きな曲からオリジナル曲まで、ありとあらゆる曲をオルゴールで奏でることができるんですね!

平林:もはや“楽器”と言ってもいいのかもしれないですね。

──オルゴールというと、ネジを巻くと音が出て、次第に遅くなって、やがて止まってしまいますが、もちろんそういうことはないんですよね?

平林:コンセントで電源をつないで稼働させますので、“ゼンマイ切れ”のような状況にはなりません。電源が必要という部分は、これまでのオルゴールと大きく違う点でもあります。


■オルゴールの概念が
■180度以上覆ると思う

──氷室京介さんのモデル「KYOSUKE HIMURO “LX-60” MEMORABILIA MUSIC BOX」ですが、どういった経緯で発売させることになったのでしょうか?

田畑:氷室京介さんは2020年10月に60歳になりましたが、還暦を迎えるにあたってレコード会社として何か記念になるもの、しかも通常のタイミングでは発売できないようなものを作れないかと考えていたんです。私もは個人的にオルゴールが好きなんですが、氷室さんのオルゴールを作れないかなと……でも、従来のものではつまらない、やるなら最先端のものがいいなと思って……それで何かないかなと探していたところ、Muro Boxを見つけたんです。“これは氷室さんにのメモリアルにピッタリだな”と。それで氷室さんに「60歳の記念に最先端のオルゴールを作りませんか?」と提案したところ、「面白いんじゃない?」ということで、Relajanteさんにお声がけさせていただきました。

Muro Boxは、アプリを使えば、曲をどんどん追加できますし、楽器的な楽しみ方もできます。氷室さんの好きな曲を自分で入力してオルゴールで聴いてみるのも楽しいだろうし、アプリで作曲しながら親子でも楽しめると思う。そんなふうに、買った人が自由に楽しめるものなので、すごくいいなと思いました。またMuro Boxはすごく重厚感があって、インテリアとしても素敵なんです。飾っておくだけでもカッコいいし美しい。高いだけあるというか(笑)、私自身すごく惹かれました。“記念の品”としてはぴったりだと思いましたね。

──見ているだけでも美しいし、記念品として相応しい重厚感もあるし、もちろん、使っても楽しめる、そんなところに惹かれて記念バージョンを制作することにしたんですね。

田畑:そうなんです。通常のMuro Boxは、カラーリングが明るいものとダークなものの2タイプなんですが、氷室さんはイメージ・カラーが黒なので、特別に黒いカラーリングにしてもらいました。そこにオリジナルデザインのカービングを施して、記念品らしい特別な仕上がりになっています。シリアル・ナンバーも入っています。


──氷室さんの曲がプリインストールされているんですか?

田畑;アプリ内以外でも本体のスイッチを押すと、氷室さんの曲が聴けるようになっています。今は本体にどの曲を収録するのか、何曲入れるのかを詰めているところ。最低でも本体に10曲は入れたいですね。さらに、アプリの方に随時曲を上げていこうと思っています。「KYOSUKE HIMURO “LX-60” MEMORABILIA MUSIC BOX」を買っていただくと、本体に入っていない楽曲のファイルをインポートしてもらえるようになります。今後、新曲が発表されたら、それも追加していければと思っていますし、アプリを使えば、自分の好きな曲順で再生することもできます。


──オルゴールはふつう1曲しか演奏できませんけど、何曲も演奏ができて、しかも最新曲にも対応するというのは、最先端な機器という感じがしますね。ちなみに、どの曲がプリインストールされる予定なんでしょうか?

田畑:今回MIDI音源を制作しているのが、氷室ファンにはおなじみのTesseyさん。マニピュレーターとしてツアーに参加したり、ツアーのオープニングSEを作ったりされている方で、氷室さんの曲を熟知しているTesseyさんに、オルゴールのアレンジをお任せしています。すでにたくさんのMIDI音源を作っていただいたんですが、今はオルゴールに合う曲はどれかを見極めている段階ですね。意外とロック色が強く、テンポの速い楽曲が良かったりするんです。オルゴールはスローテンポなイメージだったので、意外な発見でしたね。逆にバラードでもオルゴールには不向きだったり、実際に聴いてみないとわからない部分も多くて……。そんなふうに作っては聴いてみて、良くない部分を直してといった試行錯誤を重ねている段階。どの曲が入るか、楽しみにしていてほしいですね。ちなみに、本体に入る曲とアプリの曲を合わせて、最低でもまずは35曲くらいは用意する予定です。

──現在、音源を制作中ということは、氷室さんご自身もまだオルゴールになった自分の曲を聴いてはいないんですね?

田畑:実際にMuro Boxでは聴いていませんが、音源データを送って確認はしてもらっています。氷室さんは「Tessey君なら安心。Tessey君の思うようにアレンジして」と言っていました。すべてを一任されたTesseyさんは「逆に緊張する」って言っていましたけど(笑)。

──さきほど、少し高価といった話が出ましたが、アプリと連動することでずっと楽しめるのであれば、高い買い物ではないのかもしれないですね。

田畑:そう思います。“オルゴールでその値段!?”と驚く方もいると思うんです。でも、Muro Boxはこれまでのオルゴールのイメージとはまったく違う。“楽器のような”という話が出ましたけど、私自身は、楽器でありスピーカーの1つでもある、そんなふうに捉えています。楽器のように演奏することもできますし、好きな音楽をオルゴールの音色で聴かせてくれるスピーカーでもある、そういった新しいものだと思っていただければ。

それに加えて、コロナ禍で、自宅にいる時間が増えた昨今にはぴったりのものだとも思うんです。自宅で読書でもしようかとか、コーヒーを飲んでのんびりしようかといったときに、Muro Boxで音楽を聴いてもらえば、すごくリラックスできるはずです。自宅でくつろぎたいときにはぴったりなものだと思いますね。しかも、スマートフォンで遠隔操作もできますし。


──オルゴールの音には、リラックス効果があると言われていますよね。では、最後に、この記事を読んでMuro Boxに興味を持たれた方に、メッセージをお願いします。

田畑:オルゴールの概念が180度以上覆ると思うので、最先端のオルゴールの音をまずは体験してみてほしいです。氷室さんバージョンに関していえば、ファンの方ならおなじみの曲でも、オルゴールで聴くと意外な発見があると思いますし、この曲がオルゴールに?といった意外な曲にジーンときてしまったりもしますよ。楽しい驚きがあると思います。

平林:先ほど値段の話が出ましたが、氷室さんバージョンのMuro Boxの価格を決めたのが半年以上前。実は、一般販売されるセカンド・バージョンの方が高いんです(苦笑)。半年の間で、セカンド・バージョンの開発が進んで、さまざまな機能を搭載したことによって、半年前の価格では出せなくなってしまった……そういう意味では「KYOSUKE HIMURO “LX-60” MEMORABILIA MUSIC BOX」はすごくお得です。メーカーとしては、誰もが知る氷室さんからいただいたお話で、すごく意気に感じていまして、最初に決めた価格のままで発売しようということになった。なので、この機会にぜひMuro Boxを手に入れてほしいです。まさにオルゴールの概念が変わるものだと思いますので、ぜひ、体感してほしいですね。


Tessey Nakano コメント

■テッセイさんはいつごろからどんな役割で氷室さんに関わっているのでしょうか?

Tessey  2000年の秋から始まったライブツアー<BEAT HAZE ODYSSEY>が初参加となります。それ以降のすべてのライブになんらかの形で関わらせて頂きましたが、当初はこんなに長いお付き合いになるとは想像もしていませんでした。ライブでは、バンドメンバーが演奏する以外の音(効果音、バッキングコーラスやオーケストラなどの現場にはいない演奏者の音源)を実際の演奏に合わせてコンピューターで再生しています。あと、これはマニピュレーター本来の業務とは少し離れるかもしれませんが(笑)、ライブのオープニング音源なども制作しています。

■今回Muro Boxの話をきいて率直な感想は?

Tessey  今回に限らず、氷室さん関係の仕事は本当に緊張します(笑)。とはいえ、僕は昔からオルゴールが大好きなので、実際に自分のアレンジした氷室さんの音源が、ノスタルジックな小箱から奏でられると思うと単純にとても嬉しいです。

■氷室さんの曲をオルゴール化するにあたり気を付けたことは?

Tessey  Muro Boxは通常のシリンダー式のオルゴールと違い演奏時間の制約がないので、可能な限りイントロからサビまでの一連の流れを間延びしない範囲でアレンジできるように心掛けています。オルゴールならではの制約もありますが、その中で出来るだけ違和感を感じさせないようにと心掛けています。

■テッセイさんがご自宅にこのオルゴールを置くとしたらどんなときに聞きたいでしょうか?

Tessey 僕は目覚ましに使うと思います。「この曲は目が覚めそうだな」と思ったら、そういうアレンジになっているかもしれません(笑)。 楽曲の世界観は壊さないようにしているつもりなので、Muro Boxの音色で日々の生活に彩りを添えられたらとても嬉しいです。

取材・文=竹内伸一

「KYOSUKE HIMURO "LX-60"MEMORABILIA MUSIC BOX」

2021年6月1日(火)発売予定
価格:66,000円(税込)
※予約商品・期間限定
■本体サイズ:13㎝×15㎝×10㎝、重さ1045g
■無線設備の技術基準適合証明(TELEC)は取得済み
■電気用品安全法(PSEマーク)はUSB Type-C 充電器の形状が決定次第取得予定
※現在の仕様のサイズのため、日本版Muro Boxのサイズは変更します。
■同梱物:USB Type-C 充電器、日本語説明書、保証書、外箱

◆KYOSUKE HIMURO "LX-60"MEMORABILIA MUSIC BOX オフィシャルサイト
◆Muro Box オフィシャルサイト
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