【機材レポート】B’zの松本孝弘、<LIVE-GYM 2026 -FYOP+->ギターサウンドシステムの全貌

2025年末に行われたドームツアー<B’z LIVE-GYM 2025 -FYOP->に続くかたちで、2026年4月から6月にかけてアリーナツアー<B’z LIVE-GYM 2026 -FYOP+->を開催したB’z。先ごろ公開したライブレポートで記したように今回のアリーナツアー<2026 -FYOP+->は、ドームツアー<2025 -FYOP->とは異なるセットリストも見どころのひとつだった。
それゆえ使用機材にも変化が見受けられた。よりニュアンスを重視した感のあるテイスティーにしてエモーショナルなギタープレイや松本孝弘ならではの上質なギタートーン。キャリアを重ねるにつれてさらに魅力を増している松本孝弘が<B’z LIVE-GYM 2026 -FYOP+->で使用した機材の全貌を紹介しよう。
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【GUITAR編】
アリーナツアー<2026 -FYOP+->では、今回新たに3本のギターが導入されていた。ギブソン製モダーンやマイケル・シェンカーのシグネチャーモデルの使用は、全ギターファンにとっても驚きだったに違いない。まずは全12本がセットされていたギターの詳細をお届けしたい。


コリーナボディー/ネックをはじめ、弦裏通しのV型ストリングプレート、レリーフタイプのギブソンロゴ、1列に配されたコントロール類、ボディ外周端に配置された丸型ジャックプレートなど、1958年製フライングVを忠実に再現したモデル。松本は1958年製Vのリイシューモデルを2本所有しているが、今回のツアーでは<B’z LIVE-GYM 2025 -FYOP->から新導入した本機がチョイスされた。
本機は“これまで幾度かリリースされてきた1958年製Vのリイシューモデルを凌駕するクオリティーでオリジナルを再現する”というテーマのもとに制作されたシリーズの1本で、シェイプのリファインやトゥルー ヒストリック パーツ採用、ピックアップにはロウ漬けされていないカスタムバッカーを搭載するなど、こだわり抜いたスペックを持つ。コリーナ材特有の広いレンジとアタックの効いたトーンが特色だ。今回のツアーではライブのオープニングを飾った「FAITH?」「濁流BOY」で使用。


松本のシグネチャーモデル“ダブル カッタウェイ”の最新バージョンとして制作され、2025年末のドームツアー<B’z LIVE-GYM 2025 -FYOP->で初めて登場したプロトタイプ。本機はフレイム メイプル トップ/マホガニー バックのボディー構造、マホガニー ネック、ローズウッド指板、ピックアップにはCUSTOMBUCKER AL4 DOUBLE CLASSIC WHITE(Front) / CUSTOMBUCKER PLUS AL4 DOUBLE CLASSIC WHITE (Rear)を採用するなど、“ダブル カッタウェイ”の標準仕様を継承しつつ、バーブリッジ テイルピースが採用されていることがポイントだ。
近年の松本はGibson Jeff Beck 1954 Les Paul Oxblood #10やGibson Les Paul Gold Top 1954 #4-673、Gibson Les Paul Gold Top 1955 #5-9937などバーブリッジ テイルピース仕様のギターを手にすることが多いことから、それを自身のシグネチャーモデルに反映させたプロトタイプ。ちなみに、バーブリッジ テイルピースは、より直線的かつ豊かなサステインが得られることが特色だ。今回のアリーナツアーでは「ZERO」「IT’S SHOWTIME!!」「Hi」「#1090 〜Million Dreams〜」「イルミネーション」「ultra soul」といった多数の楽曲で使用。ギターテック曰く、「今回、ほぼメインと言ってもいいくらいの頻度で弾いています。今の松本さんのイチオシのひとつです」とのことだ。


今回のアリーナツアーでは「おでかけしましょ」で使用したスティーヴィー・レイ・ヴォーンのシグネチャー モデル。『Winter NAMM 2019』で発表されたもので、フェンダー カスタムショップの徹底したプロファイルによってスティーヴィー・レイ・ヴォーンのギターを忠実に再現したレリックだ。本来ピックガードに刻印されている“SRV”を松本は自身の愛称“TAK”にアレンジ。また、オリジナルに搭載されていたサウスポー用のトレモロ ユニットもボディーにザグリ加工を施して右用に交換している。
フェンダー カスタムショップ製のギターにふさわしく、ボディーのアルダーやネックのメイプル、指板のローズウッドなどは厳選された最上級のものが使用されている。また、ピックアップにはカスタムショップの職人が入念にワイヤーを手巻きした“テキサス・スペシャル”を搭載しており、芳醇な中音域と煌びやかな高音域を備えたファットなトーンを引き出すことが可能だ。ブラック ピックガードやゴールド パーツの採用、風格漂うレリック加工などが相まって生まれる強い存在感が印象的だ。


“ダブル カッタウェイ カスタム”と名づけられたシグネチャーモデルのプロトタイプは、ダイヤモンド ヘッド インレイ、マルチ バインディング、ゴールド パーツやブラック パーツ、エボニー指板といったレスポール カスタムに倣った仕様が採用されている。指板以外の木材は従来の“ダブル カッタウェイ”シグネチャー同様、メイプル トップ/マホガニー バックのボディー、マホガニー ネック(ダブル カッタウェイの指板はローズウッド)。
クールなルックスに加え、低音域から高音域までバランスよく鳴るトーンが特徴で、ロッドカバーに“B’z TWENTIETH ANNIVERSARY”の文字が刻印されているとおり2007年に制作されてから現在に至るまで松本が頻繁に手にしていることも頷ける仕上がりだ。今回のアリーナツアーでは「love me, I love you」「ねがい」「今夜月の見える丘に」「イチブトゼンブ」「片翼の風景」「鞭」で活躍するなど、こちらもメインと言っていい1本。


“カナリー イエロー”は日本人初のギブソン製シグネチャー モデルとして、1999年にリリースされた歴史的なレスポールだ。本機はB’z30周年を記念して2018年に新たな仕様で制作された数量限定モデルのプロトタイプ。松本が所有している1959年製レスポールのネック形状を投影したことをはじめ、ボディー内に空洞部が設けられたチェンバード ボディーが採用されていることなどがポイントとなる。
1958年製ほど太くなく、1960年製ほどスリムではないことからベストと称されることも多い1959年製レスポールのネックシェイプとチェンバード仕様による軽量ボディーが生む演奏性の高さ、そして上質なトーンを備えた2017年製カナリー イエローは松本孝弘フリークにとどまらず、幅広い層のギタリストから高い評価を得ている。今回のアリーナツアーでは「ペインキラー」「The IIIRD Eye」「さまよえる蒼い弾丸」で使用した。

2013年に米国LAのギターセンターで入手した1969年製のレリックは、前回ドームツアーにも登場した1本で、今回も「INTO THE BLUE」で使用された。
ドームツアー使用時に、ヴィンテージ タイプのシンクロナイズド トレモロ ユニットから2点支持ナイフドエッジ トレモロ ユニットに交換されたほか、ナットはローラー ナットに、チューナーはロッキング チューナーに変更。さらに、ピックアップは’69リイシューからノイズレスヴィンテージに変更されるなど、大幅なモディファイを実施。加えて、ネック ジョイント部はヒールレス仕様にカスタマイズされていて、結果的にヴィンテージ テイストと現代的な優れた演奏性を併せ持つ1本として仕上がった。トラディショナルとモダンを融合させても破綻することのない本機を見ると、ストラトキャスターという楽器の完成度の高さや懐の深さなどを感じずにいられない。

松本はギブソン製ゴールド トップ レスポールを数本所有しているが、本機を入手した1991年から現在に至るまで、ライブでの使用頻度が極めて高い1本。本機は1957年製レスポール スタンダードのリイシュー モデルで、レスポールの基本的なボディ構造に加えて、2ハムバッカーのピックアップ配列やABR-1ブリッジ&ストップ テールピース、そしてゴールド トップ フィニッシュといった1957年当時のスペックが再現されている。
長年に亘って愛用する中でピックアップがTAK Burstbuckerに変更されたほか、リフィニッシュも行われたという。また、オリジナルの持ち味を大切にしつつ、ハムバッカーはカバードではなくオープンに、ピックガードを付けていないなど、より松本好みのルックスに仕上がっていることもポイントだ。今回のアリーナツアーでは「ハピネス」「Don’t Leave Me」などで使用。ミドルレンジに特徴がありつつレンジの広さを備えた上質なトーンを聴くことができた。


今回のアリーナツアーで初登場して話題を呼んだフライングVはマイケル・シェンカーのシグネチャー モデル。ギブソンが50本限定で制作した中の1本で、インパクトの強いホワイトとブラックのツートーンのカラーリングが鮮烈。オリジナル個体の3Dスキャンデータによる最新技術と職人の匠の技によってオリジナルの個体が長年の使用感まで忠実に再現され、ヘッドストック裏にはマイケル・シェンカー本人の直筆サインが施されている。
マイケル・シェンカーが使用したオリジナルは、通し番号が刻印されたメダル オーナメントをボディーに埋め込んだ“1971 メダリオン フライングV”と呼ばれるモデルで、1971年に約350本のみ生産されたもの。ボディにはマホガニーを採用し、ホワイト ピックガードの一部にブラック塗装が施された。ボリュートを備えた3ピース マホガニー ネックは、スリム プロファイルをオリジナル個体から正確に再現。22ミディアム ジャンボ フレットとセルロース製ドット インレイを備えたワンピース ローズウッド指板となる。またフライングVヘッドストックにもブラック&ホワイトのモチーフが継承されており、ツートーン仕様のトラスロッド カバー、Schaller M6チューナー、Corianナットを装備した。ピックアップはアルニコ5マグネットを採用したカバーレス仕様のT-Top humbucker。今回のアリーナツアーではライブ後半で演奏された「完全無欠」「FMP」「Heaven Knows」「Liar! Liar!」で登場。ミッドハイにピークがある独特の音色を活かしてプレイしていることが印象的だった。


71 Flying V Michael Shenkerと共に今回のツアーで初導入されたギブソン製モダーン。モダーンは1957年にフライングVやフューチュラ(後のエクスプローラー)と共に開発されながらも販売されることがなかったことから“幻のギター”と呼ばれているモデルだ。本機は1982年、“ヘリテージ シリーズ”のコリーナ トリオの中の1本として発表されたもの。なお、モダーンはデザイン画は制作されていたものの、 実際には生産されていなかったモデルで、ヘリテイジ シリーズにて初めて生産されたかたちとなる。
スペック面では1958年製のコリーナVやコリーナエクスプローラーと呼ばれるモデルと同じく、ボディーとネックにコリーナ材が用いられていることがポイント。ユニークなデザインながらトーンクオリティーは高い。また、本機はコンディション良好で、ピックガード保護のためのフィルムが貼られたままなど、ほとんど弾かれていない個体だったと推察できる。アリーナツアーでは「有頂天」で使用され、独創的なルックスや厚みとキレを併せ持った上質なトーンが注目を集めた。

アンコールの「その先へ」で使用された本機は、今回のアリーナツアーのためにギブソンが用意したゴールドトップ レスポール。ギターテック曰く、「P-90を搭載したレスポールはありませんか?とギブソンに問い合わせたところ、2本用意してくださいました。松本さんがその2本を弾き比べた結果、使わせていただくことになったのが、このレスポールです。松本さんはP-90を搭載した1954年製のゴールドトップも所有していますが、70年以上前に作られたギターなので、ツアーという過酷な環境に持っていくことが難しいんです」とのこと。
本機は1955年の『NAMMショー』で展示された5色のカスタムカラーのギブソンレスポールを、その誕生70周年を記念して再現したモデルだ。ブリッジがバーブリッジ テイルピースからABR-1ブリッジに仕様変更された時期のリイシューモデルで、ギブソン カスタムショップならではの群を抜いたクオリティーやP-90特有のメロウかつクリスピーな極上トーンなどを備えている。また、経年変化によるグリーンがかったゴールド トップが巧みに表現されていることや精緻かつナチュラルなエイジド加工は、マーフィー・ラボの熟練職人によるライトエイジングによるもの。5色各70本、合計350本の限定生産のうちの1本だ。


アリーナツアー公演の締め括りに演奏された「ミエナイチカラ ~INVISIBLE ONE~」で使用。ERNIE BALL / MUSIC MAN EVHはエディ・ヴァン・ヘイレンとアーニーボール/ミュージックマンが共同開発した初のシグネチャー モデルとして、1991年に発表されたモデルだ。
松本が所有しているERNIE BALL / MUSIC MAN EVHといえばトランスピンクのカラーイメージが強いが、今回はトランスゴールドの本機が選ばれた。ギターテック曰く、「松本さんはいつもピンクのERNIE BALL / MUSIC MAN EVHを使っているんですが、実はリハ中、ピンクとゴールドを試しているんです。その2本はトレモロユニットのザグリが違うんですね。ゴールドはストリングロックスクリューに合わせてザグッてあるから、アームアップしてもあたることがないんですけど、ピンクはザグリはありながらストリングロックスクリューがあたってしまう。今回はもう少しアームアップしたいということで、ゴールドを使用することになりました」とのことだ。

ERNIE BALL / MUSIC MAN EVHは、1990年代中盤のB’zライブから活躍していた松本孝弘フリークにはお馴染みのモデルでもある。本機はメイプル トップ/バスウッド バックのボディー構造、メイプルネック&指板(ネックは低音弦側に頂点がある非対称グリップ)、本機のためにディマジオの職人スティーヴ・ブルッチャーが手がけたピックアップ、ゴトーガット製フロイドローズタイプのトレモロ ユニットなどが主なスペックとなる。
トーン面ではエディ・ヴァン・ヘイレンが以前から愛用していたPAFが再現されているため、ローパワーがポイント(エディのPAFはワイヤーが断線するなど、経年変化によって劣化した状態だったそうだ)。ERNIE BALL / MUSIC MAN EVHは楽器としての完成度や汎用性が非常に高く、シグネチャーモデルという枠を超えてニュースタンダードとしてシーンに浸透している。本機は、今回のアリーナツアーではトランスゴールドのサブギターとしてスタンバイ。






