ジムノペディ、独創的なセンスを持つ個性派バンド

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マイペースにわが道を歩む個性的なバンドを紹介しよう。名前はジムノペディ。ご存知、エリック・サティの曲名からとった名前を持つこのバンド、限りない面白みとオリジナリティを持った超オススメバンドだ。チャートを賑わせるようなポップスではなく万人に受ける音楽とはいえないかもしれない。しかし、そういうスタンスで自らの音楽を追及しているバンドは多くある。もちろん、それは彼らがそう仕向けているわけでもなければ、消極的な意味での自己満足などではない。多くの人に知ってもらうことと、売らんがための楽曲作りとは別物であることをよく知っている人たちなのだと思う。

このジムノペディもそのようなバンドの一つで、どこでも聴いたことのないオリジナリティがある超個性的なバンドだ。思いつくままに挙げてみると、メトロファルスほど泥臭くなく、面影ラッキーホールほど過激ではない。しかし、共通してそこに漂うのは昭和歌謡のエッセンスにロック、ジャズ、ファンクなどの要素を加味し、独自のパフォーマンスで世界を築き上げる独創性と覚悟だ。谷崎潤一郎のように耽美的で、坂口安吾のように暗示的で、竹久夢二のように純粋。そういう詩世界をさまざまな音楽ジャンルのミックスされたアレンジで聞かせてくれる。
それを表現するバンドの顔がヴォーカリストのナオミ。懐かしい匂いのするメロディを柔らかなパフォーマンスで表現する。それは攻撃的に声を振り絞って歌うのではなく、演劇的な振り幅の大きさで音楽に翻弄されるようになびき、感情を込めて表わされる。囁く時と歌い込む時の声の質感の違いが彼女の魅力で、聴く者を引き付けてやまないのも、彼女のヴォーカリストとしての力の賜物だろう。

ジムノペディの独自な世界を紡いでいるのがリーダーの小林殉一。彼の吹くソプラノサックスの抒情的な旋律と音色は、バンドの音楽性にさまざまな色彩を与える。ジムノペディの顔であるヴォーカリストのナオミは、儚げなのに力強く、果てしなく少女でありながら娼婦の魔性を併せ持つ存在感を持った人だ。街に溢れるロックミュージックにはない4ビートの横揺れのノリや、ワルツ曲でのチャーミングさ、それらをこともなげに演奏しきってしまうバンドの実力もさることながら、ナオミの表現者としての存在感が素晴らしい。

東京・渋谷クラブクアトロでのライヴは、台風が大接近した荒れ模様の6/21に行なわれた。1曲目の「恥艶の輪」で、観客はすでにナオミの存在に引きつけられ、そこから始まったジムノペディの世界に身と心を奪われた。曲の骨組みを支配しているのはベースとキーボード。ベースはジャズ的なアプローチでインプロビゼーションに近いランニングベースを聞かせ、キーボードは時にはエキセントリックに、そして時には甘美に楽曲を盛り上げていく。これらとは対比的なディストーション中心のギターサウンドが絡みつく。ネグリジェの衣装をつけたナオミの手や顔の表情を含め、透き通ったハイトーンとウィスパーヴォイスが、ステージに1枚の絵を描いていくように感じられる。わずか8曲のライヴだったが、繰り広げられるパフォーマンスは見事のひとこと。このオリジナリティを、さらにコアな部分に進めていってもらいたいバンドである。

ジムノペディは、現在までに『雨、所により花吹雪』『今宵も、うたかた探し』の2枚のアルバムをリリース。粒揃いの楽曲もさることながら、リーダーの小林殉一によるジャケットイラストも、ジムノペディの世界観を表わす材料として賞味したい。

セットリスト
2004.06.21@渋谷クラブクアトロ

1.恥艶の輪
2.ヒメゴト花火
3.ジェリー
4.花オルゴール
5.サリエリ
6.ウタカタ
7.トレモロ
8.13
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