BUCK-TICK、911@横浜アリーナ・ライヴレポ

ツイート
変わり続けながら、変わらないでいる。BUCK-TICKはそんな存在なのかもしれないと、9月11日に行なわれた横浜アリーナ公演<悪魔とフロイト -Devil and Freud- Climax Together>を観て思った。

昨年12月28・29日に恒例の武道館ライヴを終えた後、今年に入り、今井 寿(G)はLucy、樋口 豊(B)はWild Wise Apes、ヤガミトール(Dr)はYagami Toll&The Blue Sky、そして櫻井敦司(Vo)は初のソロ・プロジェクトと、個々の活動を展開していた彼ら。これまでにも、SCHAFTやSCHWEINなどのユニットを結成したり、他アーティストの作品に参加したりと、BUCK-TICK以外の活動も積極的に行なってきているが、リフレッシュなりチャレンジなり、外部での活動を終えて戻ってきたBUCK-TICKは、新しい輝きを湛えて進化している姿をいつも印象づけてきた。

この日のライヴでも、それは変わらない。過去13枚のオリジナル・アルバムからの選曲に、最新シングル「幻想の花」をはじめ、「キャンディ」「極東より愛を込めて」「JUPITER」などの新旧シングル曲を要所に配したセットリストにより、美麗なメロディ、激しいビート、鋭角的なデジタル音というBUCK-TICKのサウンド構造の変遷を見ることができた。そして同時に、そこに一貫するヴィジュアライズされた世界は、もはや伝統芸に見るような完璧な様式美であった。客席に風圧が伝わるほどの勢いで立ち上る火柱の中で、クールにプレイを続けた「極東より愛を込めて」など、その筆頭ではないかと思う。

そうした視覚的演出で構成された本編とは対照的に、アンコールではステージ下手側のスタンド席の扉からメンバー5人が現われるというサプライズな登場でファンを湧かせ、さらに2回目のアンコールでのこと。「最後の曲の前に、みんなに相談があります。9月11日ということで…こんなことやらないですめばいいんだけど、死んじゃった人たちに黙祷を捧げたいと思います」という櫻井のMCを受けて、メンバー5人と1万人のオーディエンスとで1分間の黙祷が捧げられた。「すべての亡骸に花を すべての命に歌を」――「COSMOS」のエンディングでステージ後方のスクリーンに映し出されたこの言葉は、耽美的であり、かつヒューマニズムに溢れる彼らを象徴するメッセージだった。

BUCK-TICKは来年で結成20周年を迎えるが、この間一度のメンバー・チェンジもなく、今なお現役でアリーナ・クラスのライヴを行なえる動員力を保ち続けている数少ないバンドだ。「いろいろ活動がありましたが、またよろしくお願いします」という櫻井の挨拶通り、これから先もいろいろな化学反応を起こしながらBUCK-TICKらしくあり続けるのだろう。

このライヴの模様を収録したライヴDVD + CD BOX『悪魔とフロイト -Devil and Freud- Climax Together』が12月22日にリリースされるので、彼らのライヴにまだ触れたことのない人にもぜひ見てもらいたい。
この記事をツイート

この記事の関連情報