フランツ、即完売のSHIBUYA-AXライヴレポ!

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フジロック以来となるフランツ・フェルディナンドの来日公演、単独としては初のジャパン・ツアーが11月末に行なわれた。その29日SHIBUYA-AXでの模様をレポートしよう。

フジロックでは初来日にも関わらず、メイン・ステージで大盛り上がりのライヴを繰り広げた彼ら。1stアルバム『フランツ・フェルディナンド』も日本でヒットを飛ばした。それだけにファンの期待は大きく、チケットは発売直後に各地でソールド・アウト。フジでのパフォーマンスが口コミで話題を呼んだのか、(今年から3日通し券のみだった)フジを見逃したファンも多かったのか、周りを見る限りツアー前のファンの期待感は、フジロックの前よりも高いように感じた。

そんな中でのツアーであったが、ツアー疲れのためなのか、メンバーの不仲が伝えられたり、ベースのボブが急病で倒れたりと波乱含みのジャパン・ツアーとなってしまった(ボブ緊急入院のため名古屋では代役ベースのプレイとアコースティック・セットが披露されたとか)。

このようなトラブルの中で最終日、渋谷公演となったわけだ。そうした一連のドタバタもあり、またレコード会社の人には前日に「ボブは出演しないので、レアなアコースティック・ライヴをお楽しみ下さい」などと言われていたので、正直そんなに期待してライヴを観に行ったワケではなかった。

しかし、結論から言うとSHIBUYA-AXでのライヴはフジロックを上回る素晴らしい内容だった。オープニング、ステージに掛かっていた幕が上がり、「Michael」が始まるとのっけからオーディエンスは大熱狂(ちなみにステージの背景に大きく掛けられていた幕の顔は、オーストリア皇太子フランツ・フェルディナンドの暗殺者だとか)。

出演しないと言われていたボブはやや青白い顔で、体調は悪そうなものの、ステージで着実にベースをプレイしている。なんでも、本人の強い希望で、点滴を打っていた病院から会場に直行したという。

そして、なんだかメンバー全員のテンションがやたら高い!(ボブを除く) ボブの体調不良を補うためなのか、とくにドラムのポールはまるで何かに怒っているかのように激しくプレイして、強いグルーヴを生み出していた。また、フジロックのときは夏の開放的な雰囲気の中、終始笑顔だったアレックスはほとんど笑わず、お祭り的な楽しいライヴだったフジのステージから一変。やたらに緊張感漂うステージになっていたのである。そして、その緊張感がバンドの演奏に力強さやグルーヴを与えていたのだ。

そして、会場の狭さもあってステージから感じる迫力みたいなものが、オーディエンスにも生でグングンと伝わってくる。グラスゴーのアートスクール出身という経歴やビジュアル・イメージのかもし出す“ヤワさ”からは想像のつかない、ロック・コンサートになっていたのだ。

アレックスの喉の調子やニックのギタープレイも、序盤こそややツアー疲れを感じさせる場面があったが、尻上がりに調子を上げてきたようだ。そして、お約束の「Take me out」では転調してからのギター・リフでダンスタイム、声を揃えての大合唱となった。その後も新曲を交えつつ、終始バンド、オーディエンスともライヴのテンションが下がることはなかった。

実際、ライヴ終了後にはまるでパンクやメタルのライヴのように、11月だというのにTシャツを汗でぐっしょりと濡らした人たちをたくさん見かけた。ある意味夏のフジロック以上に熱いライヴだったのだ。苦労してチケットを手に入れたファンにも大満足の内容だったに違いない。また最後に、病を押して出演したボブや彼を支えたバンド・メンバー、スタッフにも拍手を送りたい。

取材・文●編集部
photo/MITCH IKEDA

<Franz Ferdinand JAPAN TOUR 2004>
2004/11/29 SHIBUYA-AX
Michael
Come on Home
Tell Her Tonight
Take me out
Jaqueline
That was easy(新曲)
The Dark Of The Matinee
Villan(新曲)
Van Tango
Auf Achse
40Ft.
Darts of pleasure
【Encore】
Shopping For Blood
Cheating on you
This fire
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