'04年 HipHop/R&B事件簿 バッド・ニュース編

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'04年のヒップホップ/R&Bシーンにて起きた様々な事件の中で、バッド・ニュースに注目してみよう。

まずは大物アーティストの訃報として、8月6日にファンク・アーティスト、リック・ジェームスがロサンゼルスの自宅にて享年56歳で急死したことは、大きなニュースとして報じられた。彼のヒット曲である「Mary Jane」や「Super Freak」は非常に数多くのヒップホップ・アーティストにサンプリングされており、ヒップホップ界でも大きな話題となった。また、人気コメディアン、デイヴ・シャペルが彼のパロディをコメディショウにて披露したことによって、若者層にも非常に親しまれている存在となったタイミングであっただけに、世間に与えた悲しみも大きい。なお、過去にドラッグ絡みのトラブルを度々起こしていたため、ドラッグ中毒にて亡くなったのでは?という推測もされていたが、検死の結果、死因は心臓発作であることが判明している。

もう一人、大きな衝撃を与えたのが11月13日にマンハッタンのレコーディング・スタジオにて急死したウータン・クランのメンバー、オール・ダーティ・バスタードだ。リック・ジェームスと同様に過去にドラッグなどで度々問題を起こしていたオール・ダーティだが、刑務所からの釈放後にロッカフェラとの契約を結び、その復帰作のレコーディングの最中に帰らぬ人となった。なお、検死の結果、死因はドラッグによるものであることが判明し、さらに関係者を悲しませる結果にもなっている。

バッド・ニュースの最後に、ヒップホップとは切っても切れない縁とも言える、暴力事件を一つ挙げて終わりにしよう。小さな小競り合いから、死者が出るようなものまで、実に数多くの事件が'04年も発生していたが、最も大きな話題となったのが、11月15日にサンタモニカ空港で行なわれた『Vibe Awards』で起きた事件だろう。

暴漢がドクター・ドレーに殴り掛かり、さらにその暴漢をG-ユニットのメンバー、ヤング・バックが携帯していたナイフで刺すという前代未聞のこの事件。現在のところ暴漢がドクター・ドレーを襲った動機は不明であるが、ドレーと確執のあるシュグ・ナイトの関与も噂されており、ヒップホップ・シーンの影の部分が再びクローズアップされる結果となっている。さらにヤング・バックも裁判を待っている段階で、有罪となれば最高8年の懲役刑となる可能性もあり、アーティスト活動に多大な支障を与えるのは間違いなく、今後の動向に注目したい。

K.Omae, LA
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