【1メガでお願いします!】特集~緩急を効かした転調の多い曲構成の妙味

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ラヴィアンローズ●ライヴレポート 2005年1月10日@新宿ロフト

2月2日に最新アルバム『バラ色の人生』を発売。同作品の先行発売も兼ねたワンマン・ライヴを、新宿ロフトにて満員の観客を集め、1月10日に開催したラヴィアンロ-ズ。しかしながら、タイトルがもの凄い。<冬から始まるバラ色の人生~うんこうんこ言ってる場合じゃなかったっす!!~>ですからね。

さて、この日のライヴだが。その後へロング・ツアーが控えているだけに、今年の試運転も兼ねつつのワンマン…という感覚で捉えてたのが、そもそもの間違いだった。ヤンチャクレなラヴィアンローズのこと、軽くアクセルを吹かした程度の感覚でステージを演るわけがない。ライヴの冒頭を飾った「CLUB ROMA」の演奏時点から、メンバー全員アクセル全開フルスロットル状態。もちろん観客たちも、疾走感満載のパンキッシュ・ナンバーへ身を預け、楽しそうに飛び跳ね熱狂していたことは、言うまでもあるまい。

改めてこの日のステージを通して感じたのが、ラヴィアンローズが作り上げる楽曲のユニークな良質さ。バンドの機軸にあるのは、メロディックなビートパンク・サウンドと、激しいビートに乗せ言葉をまくしたててゆくラップコアと言う、2つのスタイル。どちらも勢い満載で体感的なノリを作りあげていくのだが、本質的に歌物趣向が強いぶん、素直にメロディが心へ溶け込んでくるのが嬉しい。そして何よりも、ラヴィアンローズの楽曲へ豊かな味を染み込ませているのが、緩急を効かした転調の多い曲構成の妙味。たとえば「ララバイ」では、冒頭から荒々しいパンキッシュ・ナンバーとして攻めていく……と思いきや、途中いきなり、ゆったりとしたリズムに乗せラップしてゆく楽曲へと転調。再び、疾走感を上げていく構成を施したり。じっくり歌いあげてゆくアカペラ声から幕を開けたかと思えば、一転激しいビート・ナンバーへ進化していく「昭和」のような楽曲も登場したりなど、1曲の中でさえも彩り豊かに表情を変えてゆくところが、このバンドの面白さ。しかもそのノリを観客たちもしっかりつかんでいるだけに、演奏に合わせたファンの子たちの熱狂ぶりも、観てて楽しくなってくる一要素。たとえば「シナリオM」のように、当初は軽快なビ-トロックに合わせ楽しそうに飛び跳ねていた観客たちが、曲の表情が一転し、深いグルーヴ・サウンドが現われたとたん、思いきりヘッドバンキングを始めてゆくよう、楽曲のウネリに合わせ、熱狂する側のスタイルへも微妙に変化をつけながら楽しんでいる。まさに、楽曲の持つ世界観をしっかり認知しているからこそ生まれる、心地よい一体化した光景と言えようか。

さて、この日全体の流れだが。「今日は古い歌から新しい曲までてんこ盛りで演っていくので、盛り上がっていこうぜ!!」というMC通り、本編だけで20曲。2回のアンコ-ルも加えると、合計24曲2時間強というステージングを展開。「マグマ」や「L FIELD」、新曲の「レディオ」、「年中夢求」などなど、緩急の効いた爆走ナンバーを次々とブーストしていった前半部。「Peach L Time」では、ミラーボールが場内を照らす中、3拍子のリズムに合わせ、観客たちが一斉に手拍子しながら心地よく身体を揺らしていく光景も登場。「故郷を思い出しながら、聴いてください」と語るヴォーカルYUTAの言葉に続き流れてきた「IBARAKING」では、満員の観客たちが、熱々と唄いあげてゆくYUTAの声へ優しげな眼差しを向けながら聴き入っていた。他にも「Oi Oi コロンボイ」では、ラッパ型のカズーを使いブラスパンク風な表情を魅せたり。ラヴィアンローズの初期の代表作とも言える「カス」や「ほたるの光」では、ガチガチなパンキッシュ・ビ-トを叩き出しながらアグレッシヴなメッセージを投げかけていた姿も、印象深く飛び込んできた。

「ここからは、どんどん飛ばしていくぜ、よろしく~!!」。新曲「バラ色の人生」から始まった終盤戦でも、メタルコア・ナンバ-の「ZO-BO-」や、拳振り上げ熱狂しまくった「KANDA伝説」「2nd. L METAL」。そして、場内中の観客たちと共に大きな合唱の輪を作りながら一体化。熱い関係を築きあげたオーラス「愛の歌」まで、激しい攻めまくりなステージングを展開。

アンコール前には、『2004年ラヴィアンローズの“こんなにムチャしてました”大賞』と題した映像も上映。中には、12月25日に日本武道館のステージへ登場、楽屋裏で 他出演バンドのファンからの差し入れを拝借したり、打ち上げで 他出演バンドのメンバーへ絡んだり。デパ地下で試食物をつまみに、持参したご飯を食べるメンバーの姿など、爆笑シ-ンが次々登場。もちろん2回のアンコ-ルでも、熱狂のウネリが会場中へ渦巻いてたことは言うまでもあるまい。この興奮、ぜひとも一度、生身で体感して戴きたい。意外と病み付きになる……かもよ!
取材・文●長澤智典
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