グリーン・デイ 来日&グラミー受賞大特集!! 2005 ライヴレポ編

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もう、日本の地には何度も足を踏み入れているグリーン・デイであるが、今回の来日公演ほど高い期待を持って待たれたことは過去になかったであろう。なにせ、最新アルバム『アメリカン・イディオット』は、彼らのキャリア史上最高となる全世界ヒット。グラミー賞の最優秀アルバム賞こそ惜しくも逃しはしたが、それでも、その高い評価とともに発売から未だに、欧米各国でもトップ5から落ちないロング・ヒットを記録中。今がまさに彼らのキャリアにおける最高潮の時期であり、“現在のロック界を代表するトップ・バンド”であることを確かめる絶好の機会。僕個人的にも、過去4度ほど彼らのライヴは体験しているが、今回ほど強い好奇心と共に臨んだことはなかったかもしれない。

前座のシュガーカルトが終わってから待つこと30分。まず、ステージにピンクのウサギの着ぐるみのマスコットが登場。その彼がヴィレッジ・ピープルの「Y.M.C.A.」やラモーンズの「電撃バップ」を振り付けに合わせて踊ると、大観衆から大爆笑と大歓声が。こうしてウォーミング・アップした直後に、ステージには、黒シャツにタイを締めたグリーン・デイの面々が颯爽と登場! 大歓声の中、彼らは予想通り、最新の代表曲「アメリカン・イディオット」と共にライヴの幕を開けた。

最近ではサポート・メンバーを付けるようになった彼らであるが、ビリー・ジョー、マイク、トレによる3ピースのコンビネーションによる、キレとパワーとスピードに満ちた演奏はさすが。彼らのライヴを観る時、いつもこの、凡百のポップ・パンク・バンドとは一桁も二桁も違うこの底力にいつも感心させられるのだが、それは今回のツアーでも健在だ。そして、ビリー・ジョーはのっけから、ステージの右端、左端へと走ってオーディエンスを鼓舞し、その度、会場からは“グォー!”っと大歓声。

この曲に乗って、前半はコンセプト・アルバム『アメリカン・イディオット』の前半部の曲目をアルバム収録順に披露。“せっかく、アルバム1枚トータルで聴いて意味のあるものを作ったのだから、このままずっと通しで演奏してくれてもいいな”とも思っていたが、アルバムの4曲目で現在大ヒットの「ブールヴァード・オブ・ブロークン・ドリームス」はさすがにオーラス用に取っておきたかったのか飛ばして、『アメリカン~』の曲は「セイント・ジミー」までを演奏する。

そして、ここからは一息入れて、彼らのお馴染みのヒット・チューン攻勢。まずは'94年発表、彼らのブレイクのキッカケを掴んだ名曲「ロングヴュー」に始まり、'97年の「ヒッチン・ア・ライド」、'95年の「ブレイン・シチュー」と代表曲が続く。「ヒッチン・ア・ライド」のジャズ~ロカビリー調の変則的なリズムを聴くと、改めてマイクとトレの、直線的なパンクだけに留まらない、プレイヤーとしての卓越した腕前を再確認。ビリー・ジョーの伸びのある立体的な歌声と合わせて、やはり3ピース・バンドの演奏としては一級品だ。

一時、“大人のバンド”として脱皮しようとしてアメリカでウケが悪くセールスが伸び悩んだ時にも、「この潜在的な演奏・表現力があれば大丈夫だろう」と思っていたが、今はまさに、そんな彼ら本来の実力が“貫禄”となって結実しているのだろう。観ていて思わず微笑ましくなってしまった。


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