より子「忘れられた桜の木」特集 バイオグラフィ&CDレヴュー

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「最後の声は“おやすみ”/今も耳の奥で繰り返す」

この曲のなかで描かれているのは、すべての人にも等しく訪れる、“大切な人との別れ”。どんなに幸せな関係であっても、人間の命には限りがあり、別れの瞬間は避けることができない。ふだん、ほとんどの人が“ないこと”にしてやりすごしているこの事実に、より子はどうしても向き合わざるを得ない。それは、彼女が通常の人よりも何倍も“別れ”に敏感だから。そして彼女は、そのことを映像的なメロディと優れて詩的なリリックによって紡ぎ出す。大切な“君”との想い出を、いつまでも自分のなかに刻み込んでおくために…。

ここで言っておかなければならないのは、彼女は決して“過去”に生きているわけではなく、未来に向かって進むために音楽と向き合ってる、ということ。『Cocoon』のリリースに関する取材で、彼女はこんな発言をしている。

「曲が書けない時期が苦しくてしょうがなくて、“もう、ずっとこのままかもしれない”なんて思ってたけど、いまは素直に自分を表現できるんですよね。“こんなふうになりたい”ってことも増えてきて、いろんなことが楽しくてしょうがない。生きててよかった、ってホントに思います」

そう、彼女の音楽はすべて“生きること”へとつながっている。ちょっとロマンティックすぎる物言いかもしれないが、生きることに絶望している人間に、「忘れられた桜の木」のような澄み切ったメロディは絶対に書けないはずだから。

このシングルがリリースされる3月30日から、より子は全国ツアーに出る。少しでも多くの人に、彼女の光に満ちた音楽と“二十歳”という年齢に似合った、愛らしいキャラクターに触れてほしいと思う。

文●森 朋之


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