アングラ、スピード感で圧倒した日本公演

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アルバム『テンプル・オブ・シャドウズ』を引っさげて、ブラジルの星アングラが来日公演を行った。今回はフィンランドのバンド、ナイト・ウィッシュとのジョイントで、5都市6公演のコンサートとなった。

今回の日本ツアーは、アンドレ・マトスが脱退してから完全に“再生”したアングラが、メロディック・メタルの頂点を極めたことを確信させるライヴだった。世界的に見ても特異な特性を持つ日本のメタル・ファンたちは、新生アングラの演奏を体験しようとSHIBUYA-AXに詰め掛けていた。会場は超満員。アルバム『リバース』は「ノヴァ・エラ」という大ヒット曲を生み、昨年にリリースされた『テンプル・オブ・シャドウズ』も好評で、このアルバムのライヴ演奏を待ち望んでいたファンが大挙して押し寄せていたのだ。今回のツアーは、フィンランドのメロディック・メタル・バンドのナイトウィッシュとのジョイントツアー。女性ヴォーカルを擁する彼らの演奏の後、アングラのライヴはスタートした。

アングラの中枢に位置し、バンドの方向性を握っていたアンドレ・マトスの幻影はもうない。それは1曲目の「スプレッド・ユア・ファイアー」でファンは確信した。アンドレに代わるヴォーカリストであるエドゥ・ファラスキの力量、ステージ・パフォーマンスは申し分なく、始終笑みを浮かべながら楽しそうに歌うエドゥには、すでにアングラのフロントマンは自分だけなんだという強い意志が感じられる。そして、アルバム『テンプル・オブ・シャドウズ』で過去の作品よりも格段に進化した彼らの演奏力、特にキコ・ルーレイロのギターは凄まじい。信じられないくらいの速いパッセージも、アルバムでの演奏と寸分変わることなく弾きこなし、もう一人のギタリストラファエルとのハモリも完璧に再現する。「エンジェル・アンド・デーモンズ」での二人のギターは、これまでのツインリードの概念をはるかに超える完成度で、そのメロディアスで超絶技巧の演奏にファンは狂喜した。

今回のセットリストは、最新アルバムを中心に、すべてのアルバムからバランスよく選ばれており、昔からのファンと新しいファンを同時に楽しませる工夫がなされていた。途中でアコースティックギターを使って、ブラジルらしいグルーブと旋律を持った曲を効果的に挟みこみ、ライヴ全体の緩急とアクセントになっていた。「テンプル・オブ・フェイト」~「エンジェルズ・クライ」でライヴは最高潮を迎え本編は終了。そしてアンコールには名曲中の名曲「ノヴァ・エラ」。ステージも観客も完全燃焼のカタルシスを感じてライヴは終了した。

人並み外れた演奏力で観客を圧倒するという技巧最優先のメタルは廃れた。しかし、限界を超えようとする本人たちの切磋琢磨と、その音楽を受け入れるリスナーは日本には健在だ。上手ければ上手いほど観客は熱狂する。しかし、それはテクニックを見せびらかすだけではだめで、完成度の高い楽曲と一体化することによってしか成立しない。それの反面教師が'80年代後半に起こったギタリストのスピード競争で、この退屈さでメタルに見切りをつけた人も多いだろう。

でもアングラにあるバランス感覚のよさ、楽曲を第一義に置く姿勢はそれらとは全く違う次元にある。自分たちの発想する楽曲には、彼らの誇る演奏力が不可欠なのだ。そしてそこには自己満足ではなく、その演奏力によってリスナーを喜ばせるという大前提がある。この快感を感じられる感性を持った日本のファンは、アングラを完全に受け入れた。尽きることない彼らの音楽的な進化を待ち望んでいるのだ。アングラはこのシーンの第一人者として、ファンの重い期待に応えてくれる才能を持った数少ないバンドの一つだ。次も、そしてまたその次も観たくなる魅力に溢れたバンドなのである。

●セットリスト
2005/03/17 @SHIBUYA-AX
01.スプレッド・ユア・ファイアー
02.ウェイティング・イン・サイレンス
03.アシッド・レイン
04.ナッシング・トゥ・セイ
05.カロリナ IV
06.ノー・ペイン・フォー・ザ・デッド
07.エンジェルズ・アンド・デーモンズ
08.ネヴァー・アンダースタンド
09.ウィッシング・ウェル
10.ドラム・ソロ
11.テンプル・オブ・ヘイト
12.ギターソロ
13.ヒーローズ・オブ・サンド
14.リバース
15.シャドウ・ハンター
16.エンジェルズ・クライ
17.キャリー・オン
18.ノヴァ・エラ

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https://secure.barks.jp/?m=present&id=1000000395&a=form
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