注目新人ザ・デパーチャーのロンドン直送レポ!

ツイート
SUMMER SONIC 05で来日する話題の新人バンド、ザ・デパーチャーが4月7日(木)、ロンドンのULUでライヴを行なった。ULUはロンドン大学の学生ホール内にあり、収容人200人ちょっとと小規模な会場だが、注目される新人バンドのコンサートがよく開かれるところ。もちろん同大学の生徒だけでなく一般にも開放されているが、この夜の観客は学生風の若者が多かったようだ。

英国のコンサートは日本に比べ始まるのが遅く、たいてい9時過ぎだが、パフォーマンス時間の短い新人バンドだと、さらに遅くスタートすることも珍しくない。しかし、この夜はとくに遅かった。オープニング・アクトのパフォーマンスが終わったのが9時半、ザ・デパーチャーがステージに登場したのは10時だ。

待ちくたびれた観客を前に、バンドは2ndシングル「Be My Enemy」でショウをスタート。ザ・スミスが大好きという彼らだが、サウンドだけでなく、そのパフォーマンス・スタイルにも影響を受けているようだ。ヴォーカルのデイヴィッド・ジョーンズのマイクを両手に宙を見つめながら歌う姿は、モリッシーそっくり。かなり自己陶酔型だ。

曲調も、続々と現われるギター・バンドの中ではややダークな感じ。フランツ・フェルディナンドやレイザーライトのような“活気”はなく、気だるい雰囲気が漂い、いい意味で'80年代のインディーズ・バンドを彷彿させる。ギターもあの時代によくあった重層なサウンドで、ステージの両端に立つツイン・ギターのサム・ハーヴィーとリー・アイアンズは、それぞれ好き勝手に弾いているようでいて、実はうまく調和がとれている。うねりと鋭さの両方のサウンドが聴けるのは、ツイン・ギターのなせる業だろう。

今年期待の新人バンドの1つである彼らは、まだデビュー・アルバムをリリースしていないものの、昨年の2月からコンスタントにギグを行なっており、ザ・キラーズやザ・スティルス、プラシーボのオープニングも務めるなどライヴ経験は豊富。この夜のステージもアルバム・デビュー前の新人とは思えない余裕のパフォーマンスを見せている。自己陶酔系のジョーンズだが、「今夜のショウは最高だ」と話すなど、オーディエンスを盛り上げることも忘れていない。

残念なことに、パフォーマンスはアンコールなしの45分と短かったが、それはこの先、曲が増えることで克服していくだろう。バンドは最近、1stアルバム『Dirty Works』を完成したばかりだという。6月にリリース予定だ。'80年代のインディ・ロックが好きだった人も知らない人も、この夏のSUMMER SONICでは要注目!

Ako Suzuki, London
この記事をツイート

この記事の関連情報