<Glastonbury '05>2日目レポート、Art Brutで大爆笑!

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まさに「瞬間」を封じ込めるホワイト・ストライプスのライヴに感動して1日目は終了。雨こそ降らないが雲が厚く垂れ込めた2日目、会場のそこかしこで池になっていた場所には、牧草がテキトーに撒かれている。足場の助けになるような、ならないような……。もっとも、動物と土と牧草の臭いが混じったこの日の空気は、なんとも言えずグラストンベリー。今日は見たいバンドが山ほどある。

と言いつつまずは酒を飲み、それから今回見たかったバンドの一つ、John Peel Stageで行われる14時30分のArt Brutへ。日本盤こそ出ていないが、最近のポスト・ニューウェイヴ系の中ではかなりお気に入り。ダンディーな退廃感がそこはかとなく音から漂うバンドだ。しかしまさか、これほど抱腹絶倒のライヴが待っていようとは……。まず見た目からして凄い。黒髪ロック姉御のベーシストを含む5人組で、ドラマー&ベースは普通(見た目が)。問題は残りの3人だ。二人のギタリストのうち、一人はシド・ヴィシャス風のパンク兄貴(ギターは上手い)。もう一人はハゲ頭を丁寧になでつけ眼鏡をかけ、三つ揃いのスーツを着た姿はどこから見ても銀行員(しかしアクションは派手)。そしてヴォーカルは、ジャーヴィス・コッカー(パルプ)とブレット・アンダーソン(元スウェード、現ティアーズ)を足して、5回くらい不運にも交通事故にあったかのような。ダンディーなのか気持ち悪いのかさえ力技でわからなくするさまにまず脱帽。そいつらが、語りを入れつつヘンな踊りを交え、パンク風味強めのニューウェイヴを鳴らす。John Peel Stageに集まった観客の皆さんも、大笑いで踊っている。

理屈を超えててスゴい、というこんなバンドをジョン・ピールもお好きだったよなあ、とふと考える。このステージはもともと「新人テント」と呼ばれていたが、昨年急逝されたインディーズ・ゴッドにして数多くのミュージシャンに影響を与えたラジオDJ、ジョン・ピールにちなんで今年から名前が変わった。ステージ脇には、ジョン・ピールが生前「一番好きな曲」と言い続けてきたアンダートーンズの「ティーンエイジ・キックス」の一節、「teenage dreams so hard to beat」の文字が大きく書かれている。アクトの合間に出てくる司会のおじさんが「ジョン・ピールも今、このどこかで笑ってるよ」とか言うのでホロリ。このステージに上がったバンドたちも、口々にジョン・ピールの偉業を称えていた。

さて、そのままザ・レイクスの無機質ニューウェイヴ&ヘンな踊りをちょっと見てから、Other Stageへ。ステージの上ではアスリートが……あれ、みんな手を繋げって言ってる。なんだ“Make Poverty History”って。この会場に着いたばかりでよくわからないまま近くの人と手を繋ぎ、上にあげる。「こうやって世界が一つになれば、何かが変わる」というMC。なんでもこの日、グラストンベリーでは全ステージで音を同じ時刻に止め、翌週のG8へのアピールをしたのだと後で知った。同じ時刻にはPyramid Stageにボブ・ゲルドフとマイケル・イーヴィス(主催者)が立ち、アピールしたのだそう。知らない人と笑顔で手を繋いだことで生まれた柔らかな一体感と、アスリートが紡ぐピュアなメロディーとが、いわく言いがたい美しいハーモニーを生んでいた。

続けて念願のザ・フューチャーヘッズを体験した後、いまだに大雨の痕跡が残る湖状態の歩道をなんとか進んでて、Pyramid Stageへ。ステージには、キーン。私はこのバンドの、そんなに無理して踊らなくていいからねと声をかけたくなるアクションが苦手なのだが、遠目で音と声だけ聴いていると素晴らしい。そして次はニュー・オーダー!! 背の高い英国人たちの隙間を縫って前方へ前方へ。ナマで近くでバーニーの踊りが見れて超満足。ゆえにコールドプレイは後方でのんびり見ることに。夜空に響くアンコールの「イン・マイ・プレイス」が、一番染みました。

文●妹沢奈美

BARKSグラストンベリー・フェスティヴァル特集
https://www.barks.jp/feature/?id=1000008759
BAKRS夏フェス特集2005
https://www.barks.jp/feature/?id=1000010016
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