<FRF'05>ギャング・オブ・フォー、元祖ニュー・ウェイヴの面目躍如

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再結成モノが多いと言われた今年のフジロックの中でも、最も通を楽しみにさせたのが、'70年代後半の英ヨークシャーにて結成されたニュー・ウェイヴの始祖的バンド、ギャング・オブ・フォー。昨年秋、突如、リーダーのアンディ・ギルを中心に再結成が発表された時にはさすがに耳を疑ったが、約24年ぶりに中心メンバーが揃うとあっては、これは見ないわけにはいかない。近年は彼らに影響を受けたような若いバンド連中のニュー・ウェイヴ指向もあいまって再評価の声も高く、初期作品もリマスターで再発されるなど何かと話題も絶えなかったが、秋には新作もリリースされる。もはや再結成とかロートルという観点で見ちゃいけないのかもしれない、と、言う気持ちでステージが始まるのを待っていた。

相変わらず音は薄い。アンディ・ギルはカミソリのように鋭いカッティングでギターを鳴らすが、それに対して、ドラムやベースなどは極力薄め。このバンドがギターの音の主軸を置いた音作りをしてきたことを、あらためて実感する。だがこの落差がカッコいい。徹底的にシャープな音像を描いていく様子は、まさしくニュー・ウェイヴと呼べるもの。低音がズッシリと響いてくるダンス・ミュージックに慣れている若いリスナーには頼りないんじゃないか、そんな心配もしていたが、徐々に客の足腰が揺れる様子が伝わってきて、次第にステージに向かってエネルギーが放出されていくのがわかる。

後半になるともはやカオス状態。時にミニマルなまでになる寡黙かつ雄弁なギター・カッティングに挑発され、いつのまにか満員の人だかりとなったステージ周辺には蜃気楼のようなものがたちこめた。見ている多くの者が、おそらくこのバンドの持つ妖気に幽体離脱しそうになったのではないだろうか。ステージ前半に感じた、早すぎたバンドがやっと時代に広く歓迎されるようになった皮肉な情景も、もはやどうでもよくなっていた。

取材・文●岡村詩野
Photo/Barks

GANG OF FOUR
7/30 WHITE STAGE

BARKS夏フェス特集2005
https://www.barks.jp/feature/?id=1000010016
FUJI ROCK FESTIVAL '05特集
https://www.barks.jp/feature/?id=1000001735
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