<FRF'05>ザ・マジック・ナンバーズ、100キロ超の巨体から繰り出される澄んだ歌声

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スマートで文科系な雰囲気がある甘いルックスに、洗練されたシャープなロック・サウンド……。“UKロックのニューカマー”と言って日本で一般的に抱かれがちなイメージはむしろこういうものかもしれない。その意味では、このマジック・ナンバーズはそのイメージには当てはまらず注目されにくいのかもしれない。

およそルックスに恵まれているとは言い難い、太った男女それぞれ2人ずつのメンバーに土くさいゆるやかなサウンド。実際、2005年のUKバンド新人ラッシュの中でも、UKプレスが彼らを“スター”として扱うことはない。だが、その代わり誰もが彼らを“今年最大の実力派”として一目は置く。そしてそれはこのフジロックで見事に証明された。

サウンドはいたってシンプル。ギター、ベース、ドラムのフォーク・ロック風のサウンドにヴォーカル・ハーモニーが加わるというものだが、これが実に美しい。男性フロントマン、ロミオが100キロをゆうに超すその体に似合わない(失礼!)実に伸びのある澄んだ声を響かせ、そこにややポッチャリ型の女性シンガー、アンジェラが絶妙な間合いで応える。

この掛け合いハーモニーは、'50~70年代の古き良きカントリー・ミュージックのエッセンスを彷彿させるもの。加えてスローの曲では、'60~70年代のサザン・ソウルのスロー・バラードのマナーを感じさせ、ゆるやかながら腰元にグッと来るコシのあるグルーヴを聴かせてくれる。この、どこか郷愁を誘う旋律と体の芯から揺さぶる生身の躍動感が豪雨に打たれた体を癒し、思わず涙腺まで緩くしてしまう。とにかくその場に居合わせた人たち皆が笑顔でハッピーになってしまう。

今回のフジロックにおいて、もっと高い清涼効果を示したのは間違いなく彼らだと思う。こうした、本来流行に左右されることのない、豊富な音楽知識に裏打ちされた地に足の着いた若いバンドが商業的にも評価されるというのは実に素晴らしいことだと思う。

取材・文●沢田太陽
Photo/Barks

The Magic Numbers
2005/7/31 RED MARQUEE

1. LONG LEGS
2. DON’T GIVE UP THE FIGHT
3. FOREVER LOST
4. I SEE YOU YOU SEE ME
5. LOVE’S A GAME
6. LOVE ME LIKE YOU
7. MORNINGS 11
8. THE BEARD

BARKS夏フェス特集2005
https://www.barks.jp/feature/?id=1000010016
FUJI ROCK FESTIVAL '05特集
https://www.barks.jp/feature/?id=1000001735
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