ゲントウキ、スケールアップした迫力のライヴ

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メロディの抑揚が心地よく、そして独自の懐かしさや柔らかさを感じる歌詞で、着実にファンの数を増やして活動を続けるゲントウキ。彼らが8/3にリリースした2ndアルバム『感情のタマゴ』は、彼らの持つサウンドエッセンスが全編に出ており、彼らの魅力がストレートに伝わってくる好アルバムだ。そして9月には、アルバム発売記念のワンマンライヴ<君と白身>も9/19東京・ZHER The ZOO YOYOGIと9/22大阪・バナナホールで敢行される。たっぷりゆっくり彼らの音楽に耳を傾けたい。

そんな彼らが演奏した近々のライヴが東京・下北沢のクラヴ440で行なわれた<「東京松虫通り」Vol.2>。この模様をリポートしよう。ワン・トーン、HARCO、そしてゲントウキの3アーティストが組んだライヴは、広くないライヴハウスではあったが、ぎっちり満員のファンを飲み込んで穏やかな雰囲気の中で開催された。

静かに登場した彼らが最初に演奏した「さらば」では、今回サポートで参加しているキーボードのハモンドオルガンが全体のトーンを作り、どこか懐かしい音世界に引き込む。印象的なメロディとブルージーなギターソロの「ギラギラ太陽を背に」、そしてコーラスワークが素晴らしい「はじまりの季節」へと流れる。まだ声の出きっていない田中潤をバックの3人がサポートする。伊藤健太のベースワークとキーボードはゲントウキのトーンをしっかり形作り、ステージ上に1枚の水彩画を広げてくれる。音楽を聴きながら映像を見ている、そんな錯覚に陥る。

タイトなリズムで気持ち良い「トップニュース」、コードセンスの良さが光る「モノクローム・スマイル」、そしてしっとりとした「追憶のレイニーデイ」へと続く。途中に挟まるのは、彼らの人柄をそのまま表すような朴訥なMCで、今回のインストア・ツアーのことが訥々と語られる。客席も、爆笑ではなく静かに微笑む感じの柔らかな雰囲気になり、彼らの音楽と人そのものの魅力を受け取っている。しかし、それは弱々しいのではなく、ヴォーカル、演奏のどれもが芯のある力強さを感じさせてくれる。このバンドの力を感じ、世界に引き込まれる。

8/3に発売されたアルバム『感情のタマゴ』のタイトル曲「感情のタマゴ」では、彼らが大事にするコーラスワーク、ひねりのあるメロディ、そしてハモンドのブルージーなソロを聴かせる。サビの印象的な「夏の思い出」ではヴォーカル田中潤の声が絶好調の域に達し、太く力強いゲントウキの姿がぐっと前に出てくるようだった。最後の曲「夢のかけら」では手拍子が起こり、小気味の良いリズムと相まって、客席は大いに盛り上がった。

アンコールは、HARCOがアコースティック・ピアノで参加し「鈍色の季節」を演奏。そして最後はゲントウキの3人のみで「素敵なあの人」を堂々と演奏してくれた。サビのファルセット・ヴォイスは秀逸! 田中の実力がまざまざと感じられる、ゲントウキならではの素晴らしい曲だ。

改めて感じるのは、ゲントウキというバンドのメロディ・メイキングの才能、ヴォーカル田中の力強さ、世界観の独自さ、つまり彼らの懐の深さだ。リズムと歌詞のハマリ具合や個々の演奏テクニックなど、まだまだ上昇の余地があるだけに、バンドの核が固まった時、彼らの音楽は飛躍的に進歩するだろう。絵を描けるバンド、ゲントウキ。にっこり笑って楽しめる音楽をもっともっと聴かせてもらいたくなる。

さらに! ゲントウキのメンバーから最新アルバムのオススメのメッセージが届いている。メンバー自らがお勧めする、アルバム「感情のタマゴ」の一曲は?

田中 潤「さらば!」
この曲で、ゲントウキスタンダードというものができた気がする。
伊藤健太「トップニュース」
何とか風、と一言では表せないミクスチャーなメロディとリズム、アルバムの中でもとりわけ個性的な曲に仕上がっていると思います。ライヴでも人気高し! ダンスィン!
笹井享介「猫のあくび」
この歌詞とメロディが作り出す情景は、まさにゲントウキ。名曲です。加えてアレンジも良し。ソングライター田中潤自ら弾くピアノを含む演奏も良し。末永く聴ける一曲だと思います。

●セットリスト 2005-07-11 下北沢440
01.さらば!
02.ギラギラ太陽を背に
03.はじまりの季節
04.トップニュース
05.モノクローム・スマイル
06.追憶のレイニーデイ
07.感情のタマゴ
08.夏の思い出
09.夢のかけら
en1.鈍色の季節
en2.素敵なあの人
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