JEFF MILLS、テクノの新たなる側面を追求したアルバムをリリース

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new ALBUM
『Contact Special』
2005年10月5日発売
AXIS RECORDS
AXCD-002 \ 2,480(税込)

1 Another day In The Jungle
2 Belief System
3 Our Natural Ability
4 Detections Of A Unknown Force
5 Proceed With Caution
6 Don't Look Into The Light
7 Touched
8 Revealing The Infinite
9 Transfusion
10 Far Beyond The Dream
11 Intruder Alert
12 Interference
13 Bi-Optic Implants
14 The Rise Of A New Reality
15 A Universal Voice That Speaks To All That Will Listen
16 Long Journey Home
17 Wait, Another Detection
18 Another Day, Another Jungle


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JEFF MILLS presents CONTACT SPECIAL@womb
10/14 (FRI)
DJs:JEFF MILLS
GUEST LIVE:CO-FUSION
VJ:NUMAN a.k.a. GLAMOOVE
OPEN:23:00
DOOR:¥4000
with flyer ¥3500
WOMB MEMBER ¥3000
MUSIC:PURE TECHNO


10/21(FRI)
DJ:JEFF MILLS
GUEST LIVE:SCION from CHAIN REACTION
VJ:NUMAN a.k.a. GLAMOOVE
OPEN:23:00
DOOR:¥4000
with flyer ¥3500
WOMB MEMBER ¥3000
MUSIC:PURE TECHNO


10/28 (FRI)
DJ:JEFF MILLS
GUEST LIVE:SUB SPACE, ELEKTRABEL
VJ:NUMAN a.k.a. GLAMOOVE
OPEN:23:00
DOOR:¥3500
with flyer ¥3000
WOMB MEMBER ¥2500
MUSIC : PURE TECHNO


10月14日から3週に渡って渋谷wombで行なわれるイベント<CONTACT SPECIAL>。今回、リリースしたアルバム『Contact Special』は、ジェフ・ミルズがこのイベントのために用意したサウンド・トラックだ。このインタヴューを読んで興味を持った人は、是非、会場へ足を運んでもらいたい。きっと、あなたはそこで“未知”の音楽と遭遇できるはずだ。

※詳細はこちらをご覧下さい。

──なぜ地球外生命体との遭遇というテーマを選んだのですか?

Jeff Mills(以下、Jeff):人間なら誰だって、なぜ自分がここにいるのか?なぜ存在しているのか?私たちはどこからきたのか?という疑問を持つだろう。その疑問はつねに宇宙と関連づけることができる。だから、僕は宇宙についてずっと考え続けてきた。宇宙は僕にとっては普遍的なテーマだ。その中でも、地球外生命体の存在は宇宙の最も大きな謎の一つだ。なぜ、ここまで地球外生命体をテーマにしてきた作品をつくらなかったのか、わからないくらいだよ。

──『Contact Special』で、あなたが私たちに伝えようとしていることは、なんですか?

Jeff:僕が生きている間に地球外知的生命体の存在についての証拠が発見されると信じている。そうやって、宇宙の謎が解明されていけば、私たちの意識を変容させるきっかけになると思う。でも、人々はそんなことを普段考えたりはしないよね。だから、僕はこのアルバムを作ることで、最低限、地球外生命体との遭遇というテーマについて考えてもらう機会をつくりたかったのさ。

──あなたの作品は、いつも議論を促すようなテーマを持っていますね。

Jeff:このプロジェクトも、DJしたり、音楽をプログラムすることも同じだよ。たとえば、DJすることで、踊っている人々が何かを感じて、考えて、なにかを発見できればいいと思っている。

──地球外生命体について、少し話しましょう。最新の地球外生命体に関する研究では、海底火山のまわりに生命がいるくらいなのだから、火星のような過酷な状況下でも生命は存在するのではないだろうか?という説があるそうです。

Jeff:興味深いね。それは納得できる。宇宙の5%くらいのことしか、人間は知らないわけだし。可能性はものすごく大きいよ。この広い宇宙に私たちだけしかいないとは思えない。

──そうですよね。でも、科学者は地球外生命体がきっといると主張するけれど、地球外“知性”生命体がいるという話になると急に保守的になります。自分たちより、高度の知性を持っているものがいるとは信じたくないのでしょうか?


Jeff:僕も同じことを考えていたよ。きっと、それは宗教と関係している。説明のつかないような超現実的なことを説明するために、ずっと神様の存在が使われてきたからね。そして、宗教は世界を支配してきた。今わかっていることから推測しても、地球外知的生命体はきっといるはずだ。ここで誤解してほしくないのは、僕は宗教を信じている人たちを否定したいわけじゃない。すべての人間は、人種や国籍、宗教や文化など関係なく、つながっている。人類はひとつの人種なんだ。

──あなたは実際に地球外生命体と会った体験はありますか?

Jeff:ないよ(笑)。でも、この宇宙に「私たち以外の何か」がいる可能性は否定できないし。私たちの中にエイリアンが紛れ込んでいると想像したこともある。もしかしたら、人間の五感では感知できない生命体なのかもしれない。人間の感覚を超越した生命体がいて、それを人間は発見していないだけかもしれない。

──今回は音楽だけでなくて、ストーリーも書きましたね? このストーリーを書いたときに、宇宙人についてリサーチはしましたか?

Jeff:いや、これは完全にイマジネーションの産物だ。この作品に、人々がどう反応するかに興味がある。僕は宇宙人の存在を認めたがらない人がいることを意識して、この作品をつくった。

──ストーリーの中では、未知の生命体と遭遇したときの人間のリアクションには「恐怖」の感情が含まれていますよね?

Jeff:人類は自分たちのテリトリーに未知の存在が入ってきたら、それを攻撃することで身を守ってきた。少なくても、僕が知っている歴史ではそうだった。それは恐怖の裏返しだと思う。だから、地球外生命体がやってきたら、僕たちはこれまでと同じように反応するだろう。これは、人間の本質を表している。それと、地球外生命体は僕たちのようにナイーブではないと思っている。敵対する生命体に出会ったときの人間のリアクションにも、興味がある。

──この話には、もう一つ興味深いところがあって。誰も宇宙に連れていかれない。

Jeff:そう。今回は遭遇だけにしたんだ。人間と地球外生命体、二つの世界が出会う。そして、それにどうリアクションするのか。ストーリーは人間のリアクション、音楽は地球外生命体リアクションを表現している。それによって僕は問題提起をしているだけだ。だから、どんな生命体であるかも説明していない。実際、人間とも宇宙人だとも、それ以外だとも明言していない。二つの世界をコネクトさせようとしているだけだ。そして、その二つの世界がどのようにお互いを認識して、どのようにお互いの考え方を変えるのか。それが疑問なんだ。

──ある意味、テクノは、未知のサウンドとの遭遇だと思います。だから、『Contact Special』は元来の意味で、テクノ的だと思うんですけど……

Jeff:(さえぎるように)その通りだ!僕は、テクノの原型というか、定義の部分に戻ろうとしている。それが、僕が今、まさにやろうとしていることだよ。長年やっていて、やっと気づいたんだ。もっともピュアなカタチのテクノが必要だって。でも、僕たちは、それをやってこなかった。自然ではない雰囲気を与えるような、時代よりも先を行ったサウンドをもっと作るべきだと思う。『Contact Special』はダンスミュージックとして作った作品ではない。もちろん、踊ることはできるだろうけどね。

──じゃあ、なんて呼びますか?

Jeff:これが、テクノ。もっともピュアなテクノだ。テクノとは、ハッキリ定義できないものであることを意味している。もちろん、ダンスもできるけど。誰も聴いたことのない、説明ができないものだ。

──あなたはいつも、実験的な作品を作ろうとしますね。


Jeff:人がどう思うかをあまり意識しないほうが、実験的なことをやりやすくなる。たとえば、人を傷つけてしまうとか、気に入られないとか、売れないとか、レコード出せなくなるとか、人の反応を恐れないで、アカデミックで教育的な部分を追求すれば、カンタンに進化させることができると思う。ほとんどの人は、人がどう思うかを考えすぎている。それが、アーティストが同じことを繰り返す原因になっている。前回人に受けたから、今回も受けるだろうってね。でも、僕はそうは考えない。そもそも、自分のやるすべての行動が、全ての人にいつも好かれるなんて不可能だ。だから、人がどう思うかは重要ではない。物事を別の角度から見られるような、他の選択肢や可能性を生み出すことができるかが重要なんだ。たとえば、人々がエレクトロニック・ミュージックの他の側面に気づいてくれたらいいと思う。ダンスするだけのものでもないし、実験的でアカデミックなだけの音楽でもない。僕の音楽は、その間にあるものだと思うんだ。それに、これは、テック・ハウスでもないし、ハウスでもないし、一般的に思われているテクノでもない。たとえジャンルで分類できなくても、18曲も作れば作品は存在するわけで、それは無視できないものになる。だから、僕はこのようなプロジェクトをやるんだ。


取材/文●門井隆盛

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