ドラゴンフォース、スピードに命を賭ける超絶メタル野郎たちが3rdアルバムをリリース

ポスト


速い、とにかく速いバンドの登場だ。

昨年2月以来、約2年ぶりとなる来日を果たし、12月6日のライヴでは、圧倒的なスピードとテクニック、そして文字通りにステージを縦横無尽に突っ走ってみせたDRAGONFORCE。

そのライヴ前日、超絶テクを誇る2人のギタリスト、ハーマン・リとサム・トットマンに、12月28日に発売となる3rdアルバム『インヒューマン・ランペイジ』のことを中心に話を訊いた。

◆ ◆ ◆

――去年の日本公演以降もたくさんツアーをこなしているけど、最近の手ごたえはどう?

ハーマン・リ(以下ハーマン):ヨーロッパは日本より少し遅れて盛り上がってきたね。この数年、かなりのショウをこなしたから成長したと実感してる。アイアンメイデンともいっしょにできたし、ヘッドライナーもやった。短い期間だけど色々な経験をしたよ。

――どの国がいちばん手ごたえがある?

ハーマン:イングランドだな。かなり大きなショウもできるようになったし、雑誌が毎週のように取り上げてくれる。

サム・トットマン(以下サム):やっぱりイングランドは地元だから。ショウの数も多いし。

――最新アルバム『インヒューマン・ランペイジで目指した音は?

サム:歌詞とか曲調とか、コンセプトのようなものは一切なかった。ベストな曲を書く、ただそれだけを考えた。それと、より激しく、よりファスト(fast)にっていうことだね。

ハーマン:僕らはファストなものしかやる気はない。だからこのアルバムでもスローな曲を入れるつもりは最初からなかった。決めていたのはそれくらい。あと今回、日本盤だけはこのアルバムのために作った9曲すべてが入ってる。もともとこの9曲で1枚のアルバムという考えで作ったものだから、ボーナストラックといっても全然オマケじゃないんだよ。そのつもりで聴いてほしい。

――前の2枚とはどんなところが変わった?

ハーマン:大きいのはキーボードの使い方だね。ヘヴィメタルだと普通はストリングスとかコーラスみたいな音を鳴らすくらいだろ? でも今回はそういう使い方をしないで、キーボードでも色々な音を詰め込んでみた。“ニンテンドー”みたいなゲームサウンドとかね。

サム:普通にギターとキーボードが存在するだけじゃなく、歌ってるときでも必ずギターが何かやってたり合間にキーボードが鳴ってたり、その隙間にまた効果音が鳴ってたり、とにかく音がたくさん詰まってるんだ。

ハーマン:今回は複雑なリズムとか展開とか、プログレッシブな方向も初めて取り入れてみた。でも僕らのトレードマークである、キャッチーで一緒に歌えるメロディ、ファストで複雑な演奏が共存するサウンドはそのままさ。だから期待は裏切らないハズだよ。

――今回からセルフプロデュースになったけど。

ハーマン:過去2枚についても、サウンドからミックスまで自分たちですべて決めていたから、前からセルフプロデュースみたいなものだよ。外部の人に頼むというのはアイデアがない人のすることさ。僕たちには豊富なアイデアがあったし、やりたいことも自分たちでよく理解してた。自分たち以上に僕らの音楽をうまく扱える人はいないはず。だからプロデュースを外部に頼む必要は感じていないんだ。

――毎回音質がよくなってきているね。

ハーマン:それは経験だね。何かを変えたわけじゃない。今までの試行錯誤で僕らの音はある程度でき上がっている。それを土台に、さらによいものを作る努力を毎回しているだけ。過去にはショボい音を作っちゃったこともあるけど、そういうのを教訓に進化してるんだ。ミュージシャンとして自然なことだろう。

――数多くのツアーの経験は、このアルバムのどこかに影響を及ぼしている?

サム:個人的には、ライヴでの経験はライヴに生きるもので、曲作りやレコーディングにはあまり関係ないと考えてる。

ハーマン:僕も基本的にはそう思う。でもツアーをすると、一緒に過ごす時間が多いからバンドの結束は固まる。それとお客さんの反応を見て、どういう部分が喜ばれるかがわかることがある。それで曲の中に手拍子できるようなところを入れたり、そういう影響はあるかもね。

――ソロも長いし、楽器演奏はDRAGONFORCEの重要な要素だと思うけど、インストをやる考えはないの?

ハーマン:さっきも言ったとおり、作ってあった曲は『インヒューマン・ランペイジ』の9曲で全部さ。ほかにインストの曲を隠したりしてないよ(笑)。確かに楽器パートは僕らの特徴だけど、それだけだともう1つの特徴であるメロディックな歌がなくなってしまう。だからインストを作る予定はないね。

――それにしても高速だね。なにか特別な訓練をしてるの?

ハーマン:そりゃもう経験と練習さ。パン屋だって何年もやってれば早く焼けるようになるよ。でも速さだけを売りにやってるつもりもないし、他人に“速い”って言われるまでは、自分ではこれで普通だと思ってたんだよ。デスメタルとかスラッシュを聴いて育ってきたから自然にこうなったんだろうね。

――ライヴではさらに高速だし、しかもあんなに動き回ってる。あれでホントに弾いてるなんて信じられない。

サム:実はあてぶりなんだよ(笑)。

ハーマン:いやあれだけ速いとじっとして弾いていられないんだ(笑)。明日は2年ぶりの日本だし、さらにパワーアップしたところを見せるよ。もっと走るしもっと飛ぶ。

――レコーディング後にメンバーチェンジがあったそうだけど、今後のことは決まった?

ハーマン:ベーシストが脱退して、今のところHEAVENLYのメンバーだったフレッドにヘルプをやってもらっている。でも今後のことはまだ決まってない。いきなり新メンバーで何週間もツアーってわけにもいかないし、演奏テクニックもルックスも、僕らの一員として溶け込める人じゃなきゃ。すぐには決まりそうにないよ。

――MP3.COMではずいぶん話題を呼んだけど、今後新曲をネットで公開したりする予定はないの?

ハーマン:だから手持ちの曲はもうないんだって(笑)。いや僕らは不必要に曲を作ったりしないから、ネットで公開できる曲もないし、今後するつもりもない。ただビデオは見てもらえるようにするかもしれない。誰かがステージから落ちた映像とか笑えるヤツをね。

――今後の日本公演での公演予定は?

ハーマン:来年の<インヒューマン・ランペイジ>ツアーで必ず日本に来るよ。


(取材・文●田澤 仁)
この記事をポスト

この記事の関連情報