とことんまで世界観を突き詰め、生み出したサントラ『SONG FOR THE TALES OF ABYSS』インタヴュー

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――すでにゲームのなかの音楽の重要性に気づいていたんですね。 でも、それまではゲームの曲は変な曲が多いなって思ってたんですよ。ただ盛り上げるだけとか残念でしたって効果音的な曲ばかりで。でもDQでカッコいい、泣けるって音楽があるんだって気づいて、そこからですよね。電子音の3和音だけでオーケストラの響きだなって想像させるのはすごいなって。 ――まだそのときのゲーム音楽は音色は決して豊富ではなかったですよね。それでもその先のストーリーを膨らませて感動していたと。 ええ。ゲーム画面を開いて、ラジカセで録音してましたからね。父ちゃんの桂銀淑のテープをつぶして(笑)。あとアニメ主題歌も録音してましたね。テレビのスピーカーにラジカセの内蔵マイク近づけて録ってたから音が悪かったんだけど、そういう遊びしてましたね。あと姉がマイケル・ジャクソンが大好きで、僕もその影響で聴いてたし、僕ら姉弟はピアノやってたんで、リチャード・クレイダーマンとかも聴いていたし、ヘヴィメタル全盛期だったからボンジョヴィやデフ・レパードも。でもそのなかでもやっぱりサントラは好きだった。「スターウォーズ」「バック・トゥー・ザ・フューチャー」はワクワクしてましたね。小学生のころって家では「宿題やったか?」「歯磨いたか?」って世話焼かれるでしょう。でも寝る直前はもう誰もじゃまが入らないじゃないですか。そうなるとそこは僕のアレフガレドでね(笑)。布団頭からかぶってそんな音楽、ずっと聴いてましたね。 ――そのテープを相当聴いていたというわけですね。 うん。学校でゲームの話になるでしょう。「あそこのシーンがよかった」とか「クリアするのが難しい」とか。そういう話のときはすべてそこの音楽が頭に鳴ってましたから。あと、「あのとき主人公はなんて言ってたっけ?」とか「どうやって終わるんだっけ?」って話でも、そこのBGMを思い出すとその疑問も解けるんですよ。それくらいBGM先行でゲームやってましたね。 ――寝る直前の布団のなかの世界でトリップしていたと。 ん~、でもね、ゲームもアニメもアンリアルな世界じゃないですか。でも作ってる人はリアルな世界の人たちだって自覚してました。“ゲームを売らなきゃいけない”“前作よりもよいものに”って思ってるんだろうなって、そこらへんは分かってたからゲームは逃避の場にはならなかった。 ――なるほど。で、今回、ゲーム音楽やって一番よかったなってところは? オーケストラ編成でアレンジできたところですね。バンドで音楽やっているときは、デモ作るときにバンドでやることを前提で作ってるし、メンバーの癖もあらかじめ入れてるんですね。でも以前は、デモ作るときに使うシーケンサーでバグパイプやイーリアンパイプ、ヴァイオリンとかが好きで、バリバリ入れてたんです。それをいかにギターで表現しようかって置き換え作業も楽しくてね。でも、それをギターで表現してみようって作業をしなくていいわけですよ。シーケンサーで作ったバグパイプの音をそのままバグパイプの音として再現していいと。ヴァイオリンで浮かんだメロディをヴァイオリンでレコーディングすればいいと。それが一番おもしろくて、うれしかったことですね。 

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