とことんまで世界観を突き詰め、生み出したサントラ『SONG FOR THE TALES OF ABYSS』インタヴュー

ポスト


 

 

――でもドレミファソラシド、ではないですよね。 はい。それは違うなと。ならば、“古代語を登場させるのはどうだろう?”と提案したんです。そしたら発音こそないけれど、アルファベットに対応したような文字が実はできていると。……これはラッキーでしたね、本当に。それで音階もアルファベットで表現できるんだから、そこから発音を僕が考えますって言って作ったんです。 ――とことん追求し、そしてそこから発音まで生み出していったんですね。 で、異国情緒を持たせたくて、日本語の1文字の子音+母音の組み合わせじゃなくて、子音+母音+母音にしようと。たとえば、レイ(rei)、ネウ(neu)とかね。柔らかい響きのあとに鋭い響きがくるようにってのも意識しましたね。そこからメロディ作ってみたんです。そこから発音してみて、また言葉代えてみたり、メロディを練り直したりして、ようやく形になったんです。で、声優さんの“ゆかな”さんがすばらしい人で、レコーディング現場ではいろいろディレクションさせていただきましたね。またそれに反応よく対応してもらいましたし。すごくそこらへんもラッキーでした。 ――バンドとの制作で違う大きな点は? これ、ゲームのBGMとして無意識で聴く人もいるんだろうなぁとか、サントラとして意識的に聴く人もいるんだろうか、無意識でも頭に残って口ずさむ人もいるんだろうか、ってそこらへんはすごく客観的でしたね。バンドのときはそんなこと全然考えずに作るんですけど。 ――最終的にゲーム内だけでなく、CDというサントラにもなりましたが、いかがですか? 最初、CDになるなんて全然思ってなくてね。ソロで作品を出すことに興味はなかったし、名義もMOTOO FUJIWARAって恥ずかしいし。あ、内容は値段をつけても恥ずかしくないって思ってますよ。でも、サントラになってよかったなって思ったのは、オーケストラで録音できる機会を与えてもらえたことですね。「譜歌」をカルテットでレコーディングしたんですけど、……もう驚きましたね。ストリングスアレンジの村山達哉さんも加わって、……もう涙が出る思いでしたね。「ああ、俺の曲はこんな表情もあったんだ」って。 取材・文●佐伯 明 

⇒MOTOO FUJIWARA特集 TOP


  
この記事をポスト

この記事の関連情報