カート・コバーンを偲ぶ

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“nirvana”死を持って完璧となす、とはなんとも暗示の強い言葉だ。これに、カート・コバーンの死と表裏一体のものとして、プライドと共に純粋に生きる、といった意味を入れたい。'90年代の音楽を定義し、ガレージで命を絶った男は、聡明で優しく、清らかだったはずだ。名声、金、女のためでない、深くパーソナルなものとして始めた音楽が、次世代にまで影響を与え、世界に波及したことで、音楽ビジネスにもセンシティヴだった彼は、天国で再度、困惑しているかもしれない。

コバーンは'67年2月20日生まれ。幼くして両親が離婚。'85年、ニルヴァーナの前身となるフィーカル・マターを結成。'92年にニルヴァーナの名作『Nevermind』がマイケル・ジャクソンを凌いで全米No.1を獲得した。コバーンはその後'94年3月から4月にかけて、薬物により心身共に異常な事態へ。'94年4月8日、シアトルの自宅で遺体が発見された。

当時の米有力メディアの報道を追ってみても、ひとりのシンガーの死について、さながらジョン・F・ケネディが再び死んだのかと思わせるような狂乱ぶりだ。すでに音楽、人生ともさまざまな角度から論じ尽くされている彼にこれ以上のやぼはやめよう。カートはかつて住んでいた賃貸家屋の壁に落書きしている。「俺の究極の意図がおまえらに分かってたまるか」。

カート・コバーンからインスピレーションを得て撮影された映画『LAST DAYS』が先月公開された。

T.Kimura
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