日本武道館をガゼット色に染めた、ツアーファイナル公演ライヴレポート

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2月8日にニューアルバム『NIL』をリリースし、2月11日から全国ツアー<Nameless Liberty.Six Guns…>を敢行したガゼット。2月から5月までに及ぶロングツアーとなった今回は、全国34公演を決行し、各地で熱いライヴを繰り広げた。ゴールデンウィーク最終日の5月7日に行なわれた日本武道館でのファイナル公演は、今回のツアーへ込められたメンバーの思いと、成長ぶりをしっかりと確信できるライヴとなった。

シトシトと霧雨が降る中、開演前から日本武道館周辺には、メンバーのコスプレをした子や、個性的で華やかな自作の衣装に身を包んだ、10代を中心とした女の子たちで溢れていた。この日は、メンバー以上にファンのみんなも気合いが入っているようだ。外はあいにくの雨だったが、チケット発売後、即完売になったという公演だけに、会場に集まった9,000人のファンは、今か今かとライヴの幕開けを待っていた。

客席がざわつく中、フッと会場の照明が落ち、SEの「THE END」が流れ始める。ざわめきが歓声に変わり、メンバーの登場を待ち望むファンの高まる気持ちが手に取るようにわかる。ステージの対面にある出入口付近に照明が当てられると、メンバーが一人ずつ颯爽と登場。アリーナ席の中央に作られた花道を、両脇のファンが見守る中、軽やかにステージに向かって歩くメンバーは、自信に満ちているように見える。耳が痛くなるほどの歓声を浴びる中、1曲目の「Nausea & Shudder」に突入。激しく動きながら演奏するメンバーに応えるかのように、ファンも最初からハイテンションで飛ばす。2曲目の「Maggots」では、ステージ前方で爆音とともに勢いよく花火が噴出し、ライヴに迫力を増す。会場全体がジャンプの嵐となった「COCKROACH」では、武道館の底が抜けてしまうのではないかとヒヤヒヤした。

「武道館、遂にきたぜ!」と言うルキ(Vo)に、会場も声援で応え、そのまま「SILLY GOD DISCO」へ。華麗な振る舞いでギターを弾く葵(あおい)の側で、れいたが力強いベースを響かせる。戒(カイ)のパワフルなドラミングから始まった「赤いワンピース」では、左右の1F席ぎりぎりまで伸びたステージの端までメンバーが駆け上がり、大興奮のファンの目の前で激しくプレイ。その後「十四歳のナイフ」「生暖かい雨とざらついた情熱」を演奏し、会場は熱気に包まれた。

勢いのある曲が続いたところで、落ち着いたバラード系の楽曲を披露。ルキのしっとりとした歌声が胸に染み込んでくる。もはや沸騰寸前のオーディエンスの熱を冷ますかのように、その後もしばらく静かなバラード系の楽曲が続く。「D.L.N」ではステージ天井に設置された大きなミラーボールが回り、会場全体にキラキラと光を走らせる。まるで星屑が降り注いでくるようだ。この日の公演は、光の演出がとても美しく、オーロラのように会場を照らす淡いライトや、天井に浮かぶ水面のような光に、思わずここが武道館であることを忘れてしまうほど。そんなガゼット色が眩いステージに、ファンもすっかり魅せられているようだった。

「この会場をぶっ壊すくらいの気持ちで暴れろ!」というルキの掛け声とともに、ライヴ後半は、また激しい楽曲に戻る。「SHADOW VI II I」「GO TO HELL」と続き、「THE $OCIAL RIOT MACHINE$」では、会場のあちこちで首が吹っ飛ぶんじゃないかと思うほどのヘッドバンギング! ガゼットのライヴは、メンバーとファンが一体になって作りあげるということを肌で感じる瞬間だ。紫のセクシーな衣装が妙に似合う麗(うるは)は、色っぽくギターを奏でながらファンを煽る。壇上で激しくリズミカルなドラムを叩き続ける戒には、普段キュートな笑顔を見せる姿とはまた違った、勇ましさを感じた。

ライヴ終盤は、「THE MURDER'S TV」「関東土下座組合」でファンを煽り、最後は「一緒に死んでくれ!」と、メンバーもファンに負けずにステージ上で頭をグルグル回しながら「DISCHARGE」を演奏。ニューアルバムの楽曲を中心としながらも、ライヴ定番の楽曲も織り交ぜた選曲で、最高潮の盛り上がりのまま本編は終了した。

アンコールでは、戒のドラムソロからスタートし、途中でれいたが参入。まずはリズム隊の迫力ある演奏で盛り上げる。その後、メンバー全員で「Ruder」「Cassis」など、4曲を披露。「Cassis」の切ない歌詞とメロディに、感動のあまり泣きだすファンもいた。さらにルキが「これは僕達からのプレゼントです。ここにいる全員に贈ります」と言って「枯詩」と「未成年」の2曲をWアンコールとして演奏し、3時間半に及んだライヴを締めくくった。

「未成年」を歌う前のMCで、今回の長いツアーを振り返り、様々な思いから泣き出しそうになったルキ。ファイナル公演にも関わらず、最後まで伸びやかでパワフルな歌声を響かせるルキの凛とした姿と、それを支えるメンバー4人の貫禄に、以前よりひと回りもふた回りも大きく成長したことを、はっきりと感じる素晴らしいライヴだった。バンドがビッグになっても、ずっとファンの側にいたいというメンバーの思いがある限り、ファンとの間に隔たりができることは決してない。彼らを信じて、これからも大きく成長し続けるガゼットを見守って欲しい。

Standing Live tour 2006 <Nameless Liberty.Six Guns…> 5/7 日本武道館
SE~ (THE END)
1.Nausea & Shudder
2.Maggots
3.COCKROACH
4.SILLY GOD DISCO
5.赤いワンピース
6.十四歳のナイフ
7.生暖かい雨とざらついた情熱
8.バレッタ
9.D.L.N
10.Bath Room
11.体温
12.SHADOW VI II I
13.GO TO HELL
14.THE $OCIAL RIOT MACHINE$
15.Carry?
16.THE MURDER'S TV
17.関東土下座組合
18.DISCHARGE
<アンコール>
19.Ride with the ROCKERS
20.Ruder
21.Cassis
22.Maximum Impulse
23.LINDA~candydive pinky heaven~
<Wアンコール>
24.枯詩
25.未成年
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