次なるステージへ・・・新たな世界観を築いた大作『ULTRA BLUE』を語る

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「今までで一番満足してるっていうか…。一番“あ、いいのできた!”って感じがある」

アルバムの感想を聞かれて真っ先にこう語る宇多田ヒカル。彼女にとって、これまで満足してないアルバムなんてないだろう。しかし今回は力強くこう言い切る。ファンにとっては何よりの言葉だ。アルバム全体を俯瞰して彼女は続ける。

「自分らしさがすごく出てて、例えば歌詞にしても言いたいことが言えてて、入れたいだけの遊び心も入れられて、使いたかった言葉とかも使えて…っていう満足感があるし、あとボーカル面でも、“あ、何かすごくよくできたな”っていう意識がある」
「一時期の画家の作品を並べた画廊ができたみたいな感じかな。今回のは画集とか個展っていう感じがすごくするの」

他の誰でもないオンリーなメロディライン、選び抜かれたコトバの美しさ、それらがリズムに乗るときの独自なテンポ感、そして類まれな声自体の艶やかさ。それらが一枚のアルバムという形に昇華できた満足感がいっぱいなのだと彼女は言う。そしてアルバムの印象として、アルバム全体が、今までの自分よりも幅を広げだした感覚。そんな彼女の感じたことが音として伝わってくる。そして彼女は言う。

「“私、見せたかったんだ、自分のこと”っていう感じがして、見せてる。ヘビーすぎる部分とか、暗い部分とか、もしくはすごくかわいい部分とかも、隠すじゃない?。人に隠すそういう邪悪な面と、めちゃくちゃかわいい面とか、自分でもあんまり、自分自身あんまり、自分に隠してて気づかなかった甘えんぼな面とか弱い面とか、冷酷な面とか、そういうのが、ちゃんとこう、実はイイ感じで見せられてる気がして…」
「私自身聴いてて、つらい感じとかがあんまなくて、聴く人もそれが伝われば、結構すんなり…聴けるんじゃないかなって思うアルバムだな」

アーティストがさらけ出せる範囲が遥かに広くなり、自分自身が気づかなかった部分をも表現できているという実感を強調する。アルバムを聴いた印象も確かにその通りだ。サウンド面での言葉との絡みつき具合がより濃密になっており、言葉が演奏の波の中から立ち上がっていると感じる。またそれを表現する彼女の声の響きも深みを増して素晴らしい。

アルバムタイトル曲ともいえる『BLUE』について彼女は言う。

「自分を見せたくてちゃんと見せるっていうのができたのが、『BLUE』で。しかもこの色ってすごい大事なキーワードなんだな…と思ったの。そこからだんだん全体像が見えてきて、“タイトルもどうしよう”っていう時期で、この“青”っていうのがすごくキーワードだなと思って」
「“ブルー”っていうと暗い感じがするけど、“青”っていうとホント“青春”の“青”でもあるけど、何か希望があって、若くて、でも何か受け入れる色っていう感じがして、すごく今の自分だなーって思ったの。あと透明感があるっていうのが大事で。私が青に対して持ってる、抱いてる恐怖感みたいな…のも受け入れた、みたいな」

青という色に対する希望、畏れ、そして受け入れ、という複雑な感情を、彼女は、ファルセットと地声の絶妙なバランスで表現する。問いかけと心の叫びが交錯する歌詞世界を見事に歌い切っている。

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