<HYDE PARK CALLING FESTIVAL>レポート

ポスト
ロンドンのハイド・パークで7月1日・2日に開催された<HYDE PARK CALLING FESTIVAL>。今年からスタートしたこのフェスのコンセプトは“Rock out and relax”。都会のど真ん中にいながらにして、開放感溢れる野外でロックを1日中楽しめるだけでなく、スクラップから成るオブジェやそれを身にまとったパフォーマーによる近未来アートも間近で体感でき、そして歩き疲れたら芝生の上でドリンク片手に仲間とゆったり癒しの時を過ごすこともできる。理想的な、ロックな大人の夏の休日だ。

2日目。入場して最初に目に飛び込んできたのは移動遊園地。昼2時~夜10時までの長丁場だがフードショップ、ATMが至るところにあるのでカードのみで快適に過ごせる。英国らしからぬ灼熱の太陽が降り注ぐ中、メイン/セカンド・ステージ共に若手や中堅バンドのライヴがテンポ良く進行され、オーシャン・カラー・シーン、ザ・ズートンズでは歌を口ずさむ人、酔っぱらって芝生に寝転がる人、それを怪訝そうに見つめるマダムの姿も。日本のフェスと微妙に異なる風景があり、その間を通り抜けるだけで“海外フェスに来た”という実感が湧く。

屋根ありのセカンド・ステージでは今秋来日公演の決定しているプライマル・スクリームがトリ。ゲートに到着したときすでに超満員だったので、英国ロックキッズの見よう見まねで塀をよじ登り、視界を確保。英国紳士風のおじさまから“ちゃんと見えるかい?”と心配され、全身タトゥーまみれのイケメン兄ちゃんからは“どっから来たの~? 日本! ザ・フーが1回しか日本に来てくれてないから? まじ!? オレも実は今回初でさ~、オッサンら格好いいよね!”と話しかけられた。共存して楽しむという英国魂に触れたところでプライマル登場。ボビー・ギレスピー(Vo)が“Good evening”と呟いた直後、一気に異空間へ誘うサイケな音に覆われ、煽られ、場内はぐしゃぐしゃ。彼らの白熱したライヴにただただ圧倒された。

太陽が沈みかけた8時過ぎ、ついにザ・フーのライヴがスタート。ステージに現れたピート・タウンゼント(G & Vo)の第一声は“少しは涼しくなったかい?”だった。のっけから観客は大はしゃぎ! 期待通りにぐるんぐるん腕も回すしマイクも回す。「フー・アー・ユー」はじめ殆どの曲で大合唱、予期せぬ「バーゲン」に絶叫するファンも少なくなかった。本編終了後“終わり!もう家に帰らなきゃいけないから!”とピートが言って立ち去ったものの、客からは愛あるブーイングの嵐が巻き起こって再登場。アンコールに応えて「シー・ミー・フィール・ミー」を含んだメドレーを演奏! ロックの殿堂・イギリス王者の2時間はあっという間に過ぎ去った。

この日「リアル・グッド・ルッキング・ボーイ」前のMCで“これは少年がほんとのクールさを欲しがってるって曲で…”と言ったロジャー・ダルトリー(Vo)に対して、ピートが即座に“今も、だよ”と切り返した場面があった。これこそが長年彼らが世界中で愛されて続けている理由だろう。

英国ロック・フェスの中核を担うこと間違いなしの新都市型フェスティバル。海外フェス初入門にはもってこいの場だ。来夏、4万人の観衆の一人として参加してみては!?

文●早乙女doraゆうこ


■オフィシャル・サイト
http://www.hydeparkcalling.co.uk/
この記事をポスト

この記事の関連情報