<FRF'06>レッチリ、王者の貫禄十分なステージ

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誰もが認めるであろう今年のFUJI ROCK FESTIVAL’06の大目玉、レッド・ホット・チリ・ペッパーズ。チケットを一般発売開始してから即完売となった2日目は、世界中がラヴコールを送るレッチリが大トリを務めた。会場は見事に超満員で、ライヴ開始予定時間の30分以上も前から「1歩後へ下がって下さい」とのアナウンスが苗場に鳴り響く。そんな中、会場からは早くも拍手でコールが湧き上がり、すでに苗場は興奮状態にあった。

そして大歓声の中、ベースのフリー、ギターのジョン、ドラムのチャドの3人がステージに現れ、ジャム・セッションでライヴがスタート。程良くしてステージ袖から勢いよくアンソニーが登場し、「キャント・ストップ」で幕を開けた。しょっぱなから成熟した音楽センスと最高峰のテクニックを披露され、会場のテンションは急激にヒートアップ! そんな中でもステージ上に優雅に流れる余裕がなんとも美しい。その余裕とたくましさは、まさに王者のオーラである。これぞレッチリ。

今回のライヴのキーワードはやはりギターのジョンだろう。新作で目覚しいほどの成長を見せて一際目立っていた彼は、ステージ上でも創造性に溢れ、まるでその創造性を自分自身の中には収めきれないという様子だった。ライヴが中盤を越えた頃にはジョンのソロ・ステージも。ビージーズの名曲「ハウ・ディープ・イズ・ユア・ラヴ」をカヴァーし、その繊細でピュアな歌声に会場が感動に包まれた。

ギター・ソロでは一瞬一瞬を愛おしむかのように鳴きのギターを響かせ、そこにいた誰もが彼が次なる高みへと飛躍したことを感じたに違いない。そう、彼はこのバンドの中で最年少。今年で44歳の3人に比べ、彼は今年で35歳。3人がすでに越えてきた成熟の道を彼は今、ひと足遅れで辿っているのだ。

また、ジョンが完全に陶酔してプレイすればするほど、揺らぐことのない骨太な3人の存在が巨大に感じられたのも事実。ずっしりとサウンドを支えるチャドに、最高のバランス感覚をキープするアンソニー、そして陶酔するジョンに上手く絡んでいくフリー。まさに熟練の技であった。

今回のライヴでプレイしたほとんどの曲がアルバム『カリフォルニケイション』以降の作品で、小僧には真似のできない渋みの効いた楽曲が中心となったが、「ミー・アンド・マイ・フレンズ」や「ギヴ・イット・アウェイ」などで見せる筋肉質でバネの効いたファンクもご健在。まさに酸いも甘いも噛み分ける世界最強バンドのライヴであった。

ちなみに今回のフリーさん。△×%◎な奇声はもちろん、歩腹前進や突然「幸せなら手を叩こう~英語ヴァージョン~」を歌いだすなどの奇行の数々を行なってくれました。そして最後は逆立ちしたままステージ袖へ・・・。彼の無邪気さもご健在。

取材・文●Sugio
写真●Masanori Naruse

2006/7/29 GREEN STAGE

1.CAN'T STOP
2.DANI CALIFORNIA
3.SCAR TISSUE
4.CHARLIE
5.FORTUNE FADED
6.READY MADE
7.THROW AWAY YOUR TELEVISION
8.SNOW
9.ME AND MY FRIENDS
10.WET SAND
11.RIGHT ON TIME
12.HOW DEEP IS YOUR LOVE (John solo)
13.DON'T FORGET ME
14.TELL ME BABY
15.CALIFORNICATION
16.BY THE WAY
  ―Encore―
17.GIVE IT AWAY
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