<FRF'06>ストロークス、ジュリアンが客席になだれ込む大盛況

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“2000年代のロックの潮流を作ったバンドが、ついにフジの大トリへ”。90年代の寵児、レッチリが2000年代の現在にロックの首領のようにドッシリと存在することにも意味がある。だが、ロックにはやはり“今、この瞬間のエッジ”の部分を表現してほしいもの。

その意味で、この2000年代に世界中のキッズにもっともバンドを作らせるキッカケとなった(かのアークティック・モンキーズもそうだった)ストロークスが頂点に立つのは、これからのロック界にとって、とても重要な転換点になり得る。そのことを察知したのか、主に若いリスナーを中心に観衆がドッと押し寄せた。

最新作の「ジュースボックス」で景気良く幕を明けたこのライヴは、これまで一貫して“クール”を通して来たストロークスにとっても、転換を意味するものだったのかもしれない。

ヴォーカルのジュリアンは不敵な笑みを浮かべつつもいつになくアグレッシヴ(ちょっと酒に酔い過ぎていたか?)で、音がパッカリと分離して聴こえる唯一無二の自慢のアンサンブルも、最高のPA状況ではなかったにせよ、それでも十分に、これまで彼らの特異性をよく知らなかったリスナーに充分アピールする魅力も放っていた。そして、相変わらずファッション・モデルのようにスマートで、キッズに決して媚びを売らない気高い立ち姿。どれだけフォロワーを生み出そうと、結局誰も彼らを模倣できないことを、これまで彼らをあまり知らなかったり評価していなかったりしたオーディエンスもきっと確認したはずだ。

ショウは「ハード・トゥ・エクスプレイン」でジュリアンが客席になだれ込み俄然ヒートアップ。途中、ジュリアンがマイクの不調にいらだち投げ捨てるハプニングなどもありはしたが、基本的には大盛況で幕は閉じた。

大筋では合格点の内容。ただ、ストロークスには今のこの位置で満足してほしくはない。この日のライヴで一番盛り上がった曲が伝説の1stアルバム『イズ・ディス・イット』からの曲であったことだったり、今年のフランツや一昨年のストライプスに比べると、ヘッドライナーとしてはややアピール不足な感があった点など、課題が残ったのも事実。

「今、世界でもっともカッコいいバンドは誰なのか」。それに対するフジロッカーズの答を向こう数年で変えさせる程のさらなる成長を、数年後きっと再び巡って来るであろうフジのトリの舞台で、彼らにはぜひとも遂げてほしい。

取材・文●沢田太陽
写真●Masanori Naruse

7/30 GREEN STAGE

1. Juicebox
2. The end has no end
3. Red light
4. Modern age
5. Heart in a cage
6. Electricityscape
7. Is this it
8. Ize of the world
9. Someday
10. Hard to explain
11. 12:51
12. You only live once
13. Last nite
14. Ask me anything
15. Vision of division
16. Reptilia
17. NYC Cops
18. Take it or leave it


FUJI ROCK FESTIVAL '06特集
https://www.barks.jp/feature/?id=1000025344
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