<FRF'06>い、今さらですが……、ドラゴンドラに乗って来ました

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フジロック名物といって思いつくものは何?(またそのフリかい!) 会場内での川遊び? 岩盤ショップの前のソフトクリーム? カラフルな花が咲いているようにテントが並ぶキャンプサイトの景色? それとも深夜のレッド・マーキーでの燃え上がる真夏の一夜の恋? ノン、ノン、ノン……、そのどれも不正解ではないけれど、かねてより筆者の周りの複数の“ツウ”のフジロッカーズが口を揃えてフジロックの醍醐味だと断言するものが一つあった。それは“ドラゴンドラ”だ! 「そ、そんな……フジロックで一番楽しいのがゴンドラ遊びなんて……」。そんな半信半疑な気持ちで我が取材班が向かった先には……。

ドラゴンドラは冬の間、本来はスキー場である苗場と、周辺のスキー場、田代、かぐら、みつまたを結ぶ、世界最長5481メートル・約15分のゴンドラなのだ(オフィシャル・サイトより)。スキー・シーズン中は苗場-田代間は1800円らしいが、フジロック期間中は往復1000円で行けるぞ。

ドラゴンドラに乗るには、レッド・マーキーの正面入り口前の窓口でチケットを買い、そのままレッド・マーキー横から、“ドラゴンドラはこちら”の看板の指示に従って、ずんずん進めばOK。乗り場は小高い丘の上にあるので、上り坂が多いが、レッド・マーキーからは約10分で乗り場に到着だ。並んでる人の姿もそれなりにいて、ヘリコプター程の悲惨な客入りではなかった模様。

そして、いよいよ憧れのドラゴンドラに乗り込む! これまで何回ものフジロックでちんたら走っている様子を地上から見上げていたドラゴンドラだが、乗ってみると意外に速い! ちょっとした下り坂の自転車より速いぐらいじゃないだろうか? そして驚いたことがもう一つ。数人乗りの大型のゴンドラだけに、平坦なルートを行くと勝手な先入観を持っていたのだが、かなり傾斜がきつい!! 急な上りや下りの坂も多く、“垂直”まではいかないまでも、それに近い急斜面もあったりする。そこをかなりのスピードで上がったり降りたりするから、気分はちょっとしたジェット・コースター! しかし、景色は抜群に美しい! ホワイト・ステージやアヴァロン、オレンジといった場内の各エリアも上空から一望できるし、途中に小川が流れていたり、バスクリンをぶちまけたような、見事な緑色の水をたたえた湖があったり、とにかく景色がきれい!


そして、終点・田代に到着した我々は目を見張った。「急傾斜で意外にスピードが速いドラゴンドラのご乗車、お疲れ様でした!」と言わんばかりに、かわいいハイジ風の少女と森の動物たちがゴンドラで疲れた我々をお出迎えしてくれたのだ。そして、ベンチに座って延々としゃぼん玉を飛ばすピースフルな人の脇では、見ず知らずのフジロッカーズ同士が大人も子供も混じって縄跳びに興じていた。な、なんと平和なんだ……。ビール一杯飲むのにも、豚串一本食べるのにも、厳しい生存競争を勝ち抜かなくてはならないオアシス・エリアの喧騒がウソのようだ……。そんな平和な景色の片隅には、ターンテーブルとスピーカーが簡単に置かれただけの、屋台のような小さなDJブースが設けられ、プチ・レイヴパーティも開かれている。そして、そのパーティの中には戦争を忘れ、ビール片手にラヴ&ピースに踊り狂うダースベイダーの姿まで……。

そう、ドラゴンドラの頂上は、ハイジが歌い、動物たちがお出迎えし、ダースベーダーさえ笑顔で踊っている、天国だったのだ! これで往復1000円は安い! ヘリコプターでボロボロになった我々取材班の心身を癒してくれたのは、ドラゴンドラだったのだ! 来年、ヘリコプターには乗らなくても、ここには絶対来よう! と堅く心に決め、我々取材班は現地を後にしたのであった。


文・写真●suepyon

FUJI ROCK FESTIVAL '06特集
https://www.barks.jp/feature/?id=1000025344
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