<SUMMER SONIC 06>デフトーンズ、拭い去れない強烈な余韻を残す

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8月12日夕刻。ゼブラヘッドの出演時には最悪の事態すらも想定せざるを得ないほどに激しかった雷雨もすっかりと止み、心地好い海風が漂うようになったマリンスタジアムのステージにデフトーンズの面々が登場すると、背後の観客から“デカっ!”との声が聞こえてきた。そう、チノ・モレノを中央に据えたこのバンドのフロント陣は巨漢揃い。まずはそのたたずまい自体に圧倒されてしまうわけだが、聴こえてくる音の迫力はそれどころではない。オープニングは2ndアルバム『アラウンド・ザ・ファー』に収録の「マイ・オウン・サマー(シャヴ・イット)」。その極めてヘヴィな震動が、スタンド席の椅子にまでビリビリと伝わってくる。オーディエンスは一体感に包まれるというよりも、むしろ呆然としながら轟音の渦に身をまかせているといった雰囲気。そして、ときおりチノがステージから飛び降りて客席を挑発するような場面もありはしたが、基本的にはそうした空気感が最後の一瞬まで続くことになった。

実際のところ、単純明快な意味での盛り上がりには欠けていた気もするし、8年ぶりに実現した待望の来日公演だった事実を考えると、演奏プログラムにもやや物足りなさが残ったことは否めない。が、それでもこのバンドが構築する“成熟したヘヴィ・ロック”の魅力は存分に発揮されていたといえるし、豪快さと繊細さ、大胆さと緻密さの同居するそのサウンドと感情表現の説得力には、彼らが大多数の今様ヘヴィ・ロック・バンドとはまるで異なった次元で呼吸しているバンドであることを誰もが感じ取ったに違いない。そして事実、デフトーンズのステージは間違っても“一番熱狂的だった”わけではないのに、とてつもなく色濃い余韻を伴っていた。

すでにレコーディングの完了しているニュー・アルバムは10月にリリースが予定されているが、ひとつだけ朗報をお伝えしておくと、“次の来日まで8年も待たせることは絶対にない”と、チノは笑顔で約束してくれた。しばらくはこの余韻に浸りながら新譜の到着と、次回の来日公演決定の報を待ちたいものである。

文●増田勇一


SUMMERSONIC 06 TOKYO
2006.8.12
MARINE STAGE

1.My Own Summer (Shove It)
2.Hexagram
3.Passenger
4.Beware The Water
5.Nosebleed
6.When Girls Telephone Boys
7.Feiticeira
8.Be Quiet And Drive (Far Away)
9.Around The Fur
10.Bloody Cape
11.Change (In The House Of Flies)
12.7 Words

◆SUMMER SONIC 06特集はこちらから
https://www.barks.jp/feature/?id=1000025892
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