CYHSY 2ndアルバムが登場!特集 INTERVIEW

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――様々な楽器の音が聴こえ実験的な要素が満載なのに、メロディーの温かな美しさとエナジーが印象に残る新作で。今作はなにか青写真を描きつつ取り組まれたりしたんですか?

アレック:いや、ただ僕の人生におけるこの録音した時期、っていうものを反映しているアルバムだと思うな。いろんな楽器が使えるようになったこととかね。前のアルバムを作ったときとは、考慮するべきところが少し変わったというか。そういうのが、大きな影響を与えたと思うよ。

――前作との「考慮すべきところの違い」、とはこれいかに?

アレック:そうだね、家で録音してたときは、安い機材しかないだろ? でも今回はよそのスタジオを使ったわけで、どういう機材があるか全く予測が付かなかった。そういった機材を調整しながら慣れていかなきゃいけない、という意味ではある種の制約もあったんだけど、やっぱり今回の環境は、(作品に)そういう影響を与えたと思うな。

――レコーディングされたのはプロデューサーのデイヴ・フリッドマンのスタジオでしたが、彼と仕事をしようと思った理由は?

アレック:うん、これまでは、せっかくこっちがいい演奏をしても“じゃあマイクを変えてみようか”とか後になってゴチャゴチャ言い出すようなプロデューサーがいたりして。それが、僕としてはすごくやってて問題だったけど、デイヴはそうじゃないから。もちろん、一緒にやると決めてからデイヴが手がけた作品もたくさん聴いてみたから、彼の仕事に馴染んではいたと思う。そこから、どういう曲を実際に録音するのか僕も想定して(スタジオに)持っていったんだ。あとはデイヴに聴いてもらって、反応を見て、どうやればデイヴ自身もノッてやってくれるのかをちょっと考えたりして。そのあたりでバンドとプロデューサーがカチッとかみ合わないと、いい作品は絶対に出来ないと思うからね。

――たとえば7曲目のような荘厳なサイケ曲は、デイヴではないプロデューサーとだったら試さなかった?

アレック:んー、基本的に彼は僕らの狙いをわかってくれていたし、僕らが彼に何を求めているか、つまり僕らが彼をどういう人だと考えているか……そういうことについても、よくわかってくれてた。それが良かったね。でも曲自体は、一緒にやりはじめるずっと前からでき上がってたんだよ。それを録音していく僕らを、デイヴはちゃんと見守っていてくれたというか。集中力がブレないようにとか、そういう調整をしてくれたのが彼だったんだよね。

――曲もアレンジもあなたが考えられるわけですが、今作の制作時においてあなたの価値観や物事を見る目に影響を与えたもの、といえば?

アレック:最大のものを一つ挙げるのは難しいんだけど……最近、特に思うのは“直接的な影響”というより、そういうのは子どものころからの積み重ねなんじゃないなか、ってことで。あるとき何かに極端に影響されて、それからフッとスイッチが切れて、また別のものに変わって……その繰り返しで、モノの見方や考え方が培われてゆくんだよね。人ってさ、何かにすごく興味を持ったり魅入られたりすると、“あ、これは新しいことだ”って思う。でもそのうち、だんだん慣れてきちゃって、それが一つの型になってゆくって傾向があるよね。だから、その繰り返しなのかもしれないなあ。

――なるほど。同じ曲で全く違うヴァージョンのアレンジを加え、結果的に何パターンもレコーディングされたそうですね。

アレック:そう。今後はずーっと、曲は同じでバリエーションだけを変えたアルバムを作り続けていこうかなあ(笑)。曲という一つの形からレコーディングに入り、いじってみて、それでアルバムに合うか合わないかで収録を決めていって生まれた作品なんだよ、これは。

取材・文●妹沢奈美

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