【佐伯 明の音漬日記】Harry Hosono(細野晴臣さん)のボックスセット『Crown Years 1974-1977』を聴く

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2007.02.△

Harry Hosono(細野晴臣さん)のボックスセット『Crown Years 1974-1977』を聴く。

“はっぴいえんど解散後からYMOの結成前夜まで”という
キャッチコピーが示すように、このボックスセットは、
ある意味で洋楽ロックを“複眼で”あるいは“メタ次元=超次元で”
とらえ直した時期の細野ワールドを余すところなく詰め込んでいる。

「2&4」にスネアが入る8ビートにとことん挑んでいくのではなく、
その土俵を相対化する音楽への学究的態度に度肝を抜かれるのだ。

30年前、当時高校生だった僕のバンド仲間(ベース担当)が、
細野さんのアルバム『泰安洋行』を持ってきた時、このアルバムの真価が、
正直言ってわからなかった。「何ユルイ音楽を演って、
世界を巡った気になっているんだ!?」としか感じられなかった。

当時はまだ、WORLD MUSICなどというセグメントもなかった。

音楽をパフォームすることが、ある種の学究的態度を示すことになるという
幸福な局面は、現在ではほとんどない。
「そういうことは、学校でやってくれ!」と言われそうである。

しかし、レポートを提出するような学究的態度とは真逆の、
煙草をプカプカふかしながらレコーディングしてしまうような、
“軽くて実は真剣な態度”が、この頃の細野ワールドには歴然として存在する。

伝説のコンヴェンション・ライヴ~1976年・横浜中華街・同發新館で
回されたカメラは、銀縁のメガネをかけてマリンバを演奏しながら歌う
細野さんをとらえている。

かなり萌え(笑)、なのは言うまでもない。

(付記)
特典映像として入っている「Merry Go Round」は、
初期ミニマル・ミュージックの細野的展開である。
クラフトワークやマイク・オールドフィールドにも
引けを取ってはいないその事実が、YMOの世界的評価に繋がっていくのである。
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