“がんばる以外にどうやってやるの!?”、6年ぶりのツアーから最新曲まで…その胸の内とは?
昨年7月から約3ヶ月間行なった約6年ぶりのツアーに、宇多田ヒカルは全てのエネルギーを注いでいた。久しぶりのツアーであること。ファンからの大きな期待。1度に何万人もの観客を目の前にして感じるプレッシャー。コンディションのキープetc...。そんな緊張感の続く日々が続いた。そしてツアーのファイナル公演を終えた9月にひと区切りし、彼女は約1ヶ月間のオフを取った。 「ツアーのスタッフに、私はがんばり過ぎてるって言われたの。あんなペースで毎回ライヴをがんばっていたら、身体も精神ももたないよって…。たとえばライヴの中でも配分的に、ここはちょっと休めると思うから休んでみれば? なんて言われたりしたんだけど、私としては“がんばる以外にどうやってやるの!?”って感じだった。私、それ以外のやり方がわからなかったんだよね。 でも、ライヴに来てくれたお客さんから来たメールを読むと“全力でがんばっているヒカルちゃんを見て、私もがんばろうと思いました”なんて感想が書いてあるメールが多くて…。ああ、ツアーをやってホントに良かったー!って思った。 でもね、ステージ上にいる時とステージを下りた時の落差はホント、すごかった。ステージに出ると“よっしゃぁー! みんな私に付いて来ーい!!”なんて叫んでるんだけど、ライヴが終わると最低限のエネルギーだけで生きてるって感じで、まるで亡霊みたいに存在感がなくって(苦笑)。ツアー最終日の打ち上げも“行く!行く!”って言っておきながら、家に戻ったらガックンってなっちゃって結局行けなくて。主役が打ち上げにいなーい、みたいな(苦笑)。」 ライヴのことだけに集中していたツアー期間中は、新しく曲を書くことも歌詞のために言葉を書きとめておくことも一切しなかったのだとか。いや、ライヴ以外のことを考えるなんてできなかったのだと思う。 「だって、音楽も聴けなかったんだよね。ま、ツアー中は耳に余計な負担をかけない方がいいだろうってとこで、あえて聴かなかったっていうのもあったんだけどね。ツアー終了後しばらくはホント、何も考えないで、ただひたすらボケ~っとしてたな。で、シングル「ぼくはくま」に付く絵本を描いたりしてた。 「ぼくはくま」のレコーディングは、アルバム『ULTRA BLUE』を作っていた頃に終わっていたんだけど、ツアーもあったし、なかなか絵本に手がつけられなくて先送りにしていたら、“やっべぇ~、もう締め切りだけどまだ始めてないや”って感じで焦った! で、締め切りを1週間ぐらい遅らせてもらって徹夜で書いたんだよね。」 ツアー終了後は、“本当は2年ぐらい休もうと思ってた”という、宇多田ヒカル。けれども、「ぼくはくま」の絵本制作を終えたあとに彼女の元に飛び込んできたのは、ドラマ『花より男子2』のイメージ・ソングを書いてくれないかという、ドラマ制作サイドからの依頼だった。 「スタッフから“やる?”って言われて、“うん”って言っちゃって(苦笑)。結局いつもこのパターンで何年も休んでないなぁ、みたいな(苦笑)。で、じゃあ作るかと思って久しぶりに機材を広げたんだけど、久しぶりすぎて、うわぁ、どうやって曲作るんだっけ? あれぇ!?って思ってるうちに、割とすんなり曲ができちゃったの。たぶん、ツアー中に制作的なエネルギーは温存してたからできたんだと思う。」 | |||||||||
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