北欧の怪物、ローディの超濃密DVD登場! そして気になる“成功請負人”の正体は?

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去る4月、本邦デビュー盤にあたる『ハード・ロック黙示録スペシャル・エディション』を引っさげ、堂々の初来日公演を行なったフィンランドの怪物バンド、ローディ。彼らが文字通り母国でモンスター級の存在になるまでの過程を濃密に収めた映像作品、『ハード・ロック黙示録ザ・ビデオ』(写真右)が5月23日にBMG JAPANよりリリースされる。ちなみにタイトルは“ザ・ビデオ”だが、もちろん形態はDVD。トータル収録時間163分という超大作である。

ここに収録されているのは、大きく分けて4つの要素。まずは彼らの成功を象徴する出来事となった、2006年5月26日、地元ヘルシンキのマーケット広場でのフリー・コンサートの模様を収めたライヴ素材。実に国民の1/50にあたる10万人が詰め掛けたというこのライヴは、『ユーロヴィジョン・ソング・コンテスト』で優勝を飾った彼らが凱旋公演として行なったもの。

で、2つめの収録素材は、その『ユーロヴィジョン~』出場の際の貴重映像。国内予選からギリシャのアテネで行なわれた本選に至るまでが、ドキュメンタリー的に構成されている。そしてさらには、これまでに作られてきたビデオ・クリップの数々も堪能することができるし、最後にはMR.ローディの念願でもあったオリジナルの短編ホラー映画も収められている。これだけ濃い内容で4,000円を切るお値段。お買い得と言っていいでしょう。

ちなみにMR.ローディは、4月の東京滞在中、彼らにとってのブレイクの切っ掛けとなった『ユーロヴィジョン~』を振り返りながら、次のように語っている。

「ひとつ確かなのは、もう二度と出ないってこと(笑)。俺たちは“間違ったコンテストにおける間違った出演者”だった。でも、逆に見ればドンピシャだったってことさ。あれは俺たちには本来似合わないはずの行儀のいいポップ・コンテストだけど、面白いのは、ある意味ファンタジーに基づいた俺たちみたいなバンドが、参加者のなかでいちばんリアルだったってこと。モンスターよりもポップ・スターたちのほうが、よっぽど現実的じゃないのさ(笑)。ま、あのコンテストが俺たちを外界に飛び出させてくれる窓だったのは確かだし、あそこからすべてが始まったことは間違いない。でも、日本やアメリカのファンにとって、それはたいして重要なことじゃない。日本におけるローディの歴史は、今回のジャパン・ツアーを起点として始まるのさ」

こんなふうに饒舌に語る彼の舌が、キッスの話になるとさらに滑らかになることは言うまでもない。ご存知の読者もいるはずだが、彼はかつてキッスのファン・クラブの、フィンランド支部会長を務めていたという筋金入りのマニア。ローディ結成当初のメンバー全員がその会員だったという、笑える逸話もある。ちなみに今回、手元にキッスの日本公演プログラムを余分に持っていた筆者がそれを一部プレゼントすると、自宅に“キッス・コレクション部屋”を持っているという彼は、数秒間にかぎり筆者をほぼ神様扱いしてくれた。

ところでローディとキッスを繋ぐのは、そうしたエピソードばかりではない。実は今回の来日公演に同行していた彼らのマネージャーは、ビル・オーコインという人物。マニアならその名を記憶にとどめているはずだが、彼はデビュー当時から80年までの間、キッスを手掛けていたマネージャーだ。そのオーコイン氏にも話を聞く機会があったので、その発言の一部をここに紹介しておきたい。

「私にとって、ローディとの出会いは運命だったのかもしれないね。私は『ユーロヴィジョン~』になんかまったく興味がなかったんだが、たまたまヨーロッパ在住のビジネス・パートナーに“絶対に観るべきだ!”と言われて、結果、彼らの存在を知った。しかもその後、知り合ってみれば、MR.ローディはキッスのFCをやっていた男で、キッスのことならなんでも知っている。私が思い出せないようなことまでね(笑)。そんな人物と世界を一緒にまわっているなんて不思議な感覚だよ。彼らはまさに、新世代のキッスと呼ぶに相応しいバンドだと思う。レコード会社は大儲けすることになる。今のうちにいろいろと取り決めをしておかないといけないな(笑)。しかもローディの素晴らしいところは、メンバー全員が純粋で熱心で決意に満ちているということ。金を稼げるバンドでも動機がないと駄目だが、彼らにはそれがある。しかも付き合いやすい連中だしね。ま、キッスも最初はそうだったんだが(笑)」

ローディのアメリカでの成功についても確信しているというオーコイン氏。猛獣使いのお手並み拝見といったところだろうか。とりあえず“まだローディの歴史が始まったばかり”の日本のファンとしては、このバンドが完全に手の届かない存在になってしまう前に、『ハード・ロック黙示録ザ・ビデオ』で、彼らの“これまで”を掌握しておきたい。

加えて日本未発売だった1stアルバム、『ゲット・ヘヴィ』も同時発売になるので、こちらも要チェックである。

文●増田勇一
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