木村カエラ、初の武道館公演で涙

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いまや「日本の音楽シーンを代表するポップアイコン」といっても誰もが異論はないであろう木村カエラが、初めてチャートNo.1を獲得したアルバム『Scratch』を携えて敢行した全国ツアー<『Scratch』 ~上がってますってばツアー>。その追加公演として行なわれた彼女の初武道館ライヴは、筆者がこの十数年間に見た武道館公演の中で三指に入る感動的なライヴだった。(フォト・アルバム

ステージ前方の紗幕にシルエットで浮かび上がる、燕尾服に身を包んだ木村カエラを筆頭に、バンド・メンバーもそれぞれにキャラクターの出た一張羅を纏って(まとって)登場。ほぼインストのピアノ曲「Scratch」の幻想的な世界から、エレクトリックな「Circle」へ。続く「Magic Music」では、サビの<あなたの笑顔が見たい>を<みんなの笑顔が見たい>と客席を指差しながら歌詞を変えて歌うと、オーディエンスも“うぉーっ!”と歓声を上げながら笑顔で応えた。

あの小さな身体で、1万人ものオーディエンスを瞬時に統率する吸引力と集中力。ライヴのスタートからほんの数分でそれを証明し、体現してみせ、しかしそれはとても自然体で、気負ったところは感じさせない。その後の「ワニと小鳥」や「dolphin」など、音楽としてドラマチックでありメッセージ性をも多分に含んだミドル・ナンバーを披露した“聴かせるコーナー”も、しかり。高音のファルセットも、穏やかなウィスパー・ヴォイスも、実になめらかでいて真っ直ぐに聴き手の元に届いてくるハリのある歌声で、それぞれの楽曲にライヴならではの息吹を吹き込んでいく。

「私の歌を聴きに、こんなにたくさんの人が来てくれて…本当にスゴイことだなって思います。生んでくれたパパ、ママ、家族、支えてくれた人、スタッフ、本当にありがとうございます」。そういって涙ぐみ、声を詰まらせながら挨拶する彼女の姿を見ていたら、恥ずかしながら思わず涙で前が見えなくなった。本当に感動した、素敵な時間だった。

アンコールでは、新曲「Samantha」と「happiness!!!」を披露した後、客席を照らす真っ白な光の中で、客席から発せられた「ありがとう!」という声に「こちらこそ、ありがとう」と、まるで十年来の友達に会釈をするようにさり気なく言葉を返し、「ありがとうございました。また会いましょう!」と言って両手で投げキスをして、何度もオーディエンスに向けて頭を下げてステージを後にした。

ありがとう、カエラちゃん。あなたは音楽シーンの宝です。

文●望木綾子

▼<『Scratch』 ~上がってますってばツアー>2007.6.15 日本武道館【フォト・アルバム】
https://www.barks.jp/feature/?id=1000032853

■オフィシャル・サイト http://columbia.jp/artist-info/kaela/
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