ART-SCHOOL“Flora”ツアー最終公演 7月15日@渋谷C.C.Lemonホール・ライヴレポート

ツイート
ここ数年、ツアーファイナルはSHIBUYA AXが恒例だったART-SCHOOLの、初のホールライヴ。

だからといって会場が気負っている風ではなく、会場がどこであれきっと変わらないのだろう静かな炎を燃やしながら、ART-SCHOOLの登場を待っている。

今年2月発売、本ツアーのタイトルにもなっている最新アルバム「Flora」は、今までのART-SCHOOLの世界観(それは純粋なものへの希求だったり、絶望、あきらめだったりといったものだが)、その根底は変わらないもののその中から光に向かって手を伸ばす、繋がろうという木下の変化を強く感じさせる、新しいART-SCHOOLの可能性を示したアルバムだった。そんな作品を産み落としたバンドの今現在を確認するため、C.C.Lemonホールへと足を運んだ。

「Flora」の1曲目「Beautiful Monster」で幕を開けた、この日のツアー最終公演。彼らにとってはいつもの通り、MCを挟むこともなく立て続けに楽曲が演奏されていく。凝った照明が非常に効果的に楽曲と演奏とにシンクロしている。観客のボルテージも最高だ。13曲目に演奏された「Mary Barker」では、この楽曲の詞曲を担当しているギターの戸高がメインヴォーカルをとる。新たなART-SCHOOLの象徴と言えるシーンであり、バンドにある種の厚みを持たせることに繋がっている。

ライヴ中盤、アルバムの共同プロデューサーである益子樹(ROVO)がステージに登場した。「テュペロ・ハニー」から始まり「Flora」から立て続けに8曲を、ART-SCHOOLと共に演奏。「Flora」は氏がほぼ全編に渡りシンセで参加しているため、バンドだけで全ての世界観を再現するのは難しいだろうと感じていたが、この最終日は氏が加わったことによりキラキラとしたサウンド感が実に忠実に再現されており、そしてそれが非常に効果的にバンドの背中を後押ししていた。圧巻だった「Piano」ではホール全体が幻想的な空気に包まれ、続く「THIS IS YOUR MUSIC」では、高揚感と絶望が交錯するアルバムの世界観がより強力に厚みを増したサウンドで会場に広がった。一連の流れは、間違いなくこの日のハイライトだった。

益子氏がステージから去った後半、「MISS WORLD」「サッドマシーン」などライヴ定番曲の連発に会場は更にギアを一段上げた熱気に包まれ、それは本編最後の「あと10秒で」で最高潮に達した。アンコールは、アコースティックセットで「ダニーボーイ」、木下が10代の頃に書いたという「SWAN DIVE」など4曲を披露。これで終了かと思いきやそうではなく、更にダブル・アンコール、鳴り止まない声に応えついにはトリプル・アンコールまで演奏し、本当に完全燃焼した満足感とともにART-SCHOOLはステージを後にした。

3度のアンコールを含め全35曲、3時間。今の日本のロックシーンの中で、ART-SCHOOLの持つ唯一無二な存在感を存分に示したパフォーマンスだった。

確かにART-SCHOOLは変化していた。その変化は、まるでこの日の美しい照明のように、真っ黒な世界に差し込む絶対的な強さと美しさを伴った光のようだった。変化というよりも進化という表現の方が当てはまると思わせるツアー最終公演、初のホールライヴだった。

実はこの日、会場にはカメラが入れられライヴの模様が収録されていた。なんとこのライヴ、早くも9月にDVD作品としてリリースされることが決定しているという。残念ながら実際に体験出来なかった方には、本当に必見の作品になる事は保証済み。光を目指す方法を手に入れた孤高のロックバンドから、今後も目が離せない。

文●ASA&Co.

01.Beautiful Monster
02.水の中のナイフ
03.スカーレット
04.羽根
05.Flowers
06.DIVA
07.リグレット
08.APART
09.BLACK SUNSHINE
10.欲望の翼
11.モザイク
12.プール
13.Mary Barker
14.汚されたい
15.LITTLE HELL IN BOY
16.アパシーズラストナイト
17.テュペロ・ハニー
18.Nowhere Land
19.アダージョ
20.その指で
21.LUNA
22.Piano
23.THIS IS YOUR MUSIC
24.IN THE BLUE
25.MISS WORLD
26.サッドマシーン
27.UNDER MY SKIN
28.ロリータキルズミー
29.あと10秒で
EN1
30.ダニーボーイ
31.SWAN DIVE
32.BOY MEETS GIRL
33.FADE TO BLACK
EN2
34.斜陽
EN3
35.車輪の下
この記事をツイート

この記事の関連情報

*

TREND BOX

編集部おすすめ

ARTIST RANKING

アーティストランキング

FEATURE / SERVICE

特集・サービス