『カート・コバーン アバウト・ア・サン』日本で公開

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ニルヴァーナのフロントマン、カート・コバーンが27歳という若さで自ら命を絶ったのは94年4月のこと。それから13年がたった今年、カートのインタヴューをベースにした異色のドキュメンタリー映画『カート・コバーン アバウト・ア・サン』が、世界に先駆け日本で公開されている。

カートが唯一信頼したという音楽ジャーナリスト、マイケル・アゼラッドが、92年12月~93年3月に行なったインタヴュー取材は、『病んだ魂 ニルヴァーナ・ヒストリー』というタイトルの公式本と、25時間にも及ぶ音声テープを残した。その音声テープを時系列に再構成し、カートの肉声をガイドに、彼が目にしたであろう故郷ワシントン州の風景を映し出していくというのがこの作品だ。

画面にカートの姿はなく、ゆかりの地であるアバディーン、オリンピア、シアトルの人々や、建物や、美しい自然が、まるでバック・グラウンド・ビデオのように流れていく。

サウンドトラックもニルヴァーナの楽曲ではなく、カートが愛した他のバンドの音楽が並べられている。マッドハニーやヴァセリンズ、R.E.M.、デヴィッド・ボウイ、チープトリック、クイーン等々が流れる中、彼自身の言葉で時折り語られる他のアーティストへの思いは、ファンにとって興味深いに違いない。

とはいえ、前述の公式本を読んだ人にとって、インタヴューの中身については既知のことが多いかもしれない。が、彼の生きた言葉の力強さには、改めて衝撃を受けるはずだ。そして同時に、彼が背負っていたものの重さにも改めて気づかされるだろう。

映画の最後、夫を呼ぶコートニーの声に応えるカートの、アーティストとしてではなく、1人の父親としての言葉を耳にして、なんだか急に切なくなった。

■映画『Kurt Cobain About a Son』予告編
https://www.barks.jp/watch/?id=1000019523


『カート・コバーン アバウト・ア・サン』(原題:Kurt kobain About a Son)
監督・編集:AJ・シュナック
声:カート・コバーン
上映時間:1時間37分
配給:ショウゲート
8月4日より渋谷アミューズCQNほか全国順次ロードショー


原 令美/イーフィールズ
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