石田ショーキチ、新たな出発の一夜となったツアー・ファイナル

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11月5日の下北沢シェルターからスタートした<LIVE YOUR LIFE TOUR2007>の最終公演が、去る11月23日、渋谷のCLUB QUATTROにて開催された。当日のライブレポートが到着したのでお届けする。

SPIRAL LIFE、SCUDELIA ELECTROを育んでくれた、石田ショーキチにとってとても感慨深いライブハウスでのツアー・ファイナルは、今年9月にリリースされた初のソロ名義アルバム『love your life』収録の「Home way」からスタートした。満員の会場は早くもヒートアップし、石田自身も「誰のライブ?」とおどけるほどだ。昨年から度重なるメンバー・チェンジを繰り返した末に、辿り着いた第4期“石田ショーキチバンド”は、ツアーを通してきたことにより、紡ぎ出される音にも更なる磨きがかかり、ライブバンドとして強固な絆を感じさせる。

続く「30 years before」は「ビートルズに出会って30周年記念」で作られた楽曲。人生色々厳しかったけど、ロックンロールに支えられてきたことに感謝したアルバムのリード曲でもある。「砂の城」では、80年代ディスコの華でもあったデッド・オア・ライブを石田ショーキチ流に解釈したダンスナンバーに、観客も体を動かして楽しんだ。

MCではパブリック・イメージとはまた違った小気味なトークで笑いを取る一面も見せ、ドラムのトラブルをさりげなくフォローする場面もあった。この後、MOTORWORKSの「ステレオラブ」、「コスモゼロ」、SCUDELIA ELECTROの「サマーレイン」と立て続けに懐かしいナンバーを披露。ここは観客とのシンガロングタイムで旧来のファンにとってはたまらないブロックだったのではないか。

そしてライブ最初の山場とも言うべき「Slow ride」は、石田ショーキチの持ち味とも言うべき重厚なウォール・オブ・サウンド作り出す。弦のレコーディングにこだわり続けて試行錯誤を繰り返し、たどり着いた石田ショーキチ印のストリングスが会場を包み込み、聴く者を圧倒した。そして、今回のソロアルバムのなかでも人気の高いナンバーである「Seth」では、優しさと哀愁を内包したヴォーカリスト・石田ショーキチの魅力を存分に味わうことができた。

今回のツアーは、≪DAYS OF ENDURO≫と≪DAYS OF SPRINT≫の2つのサブタイトルが付けられており、サブタイトルによって、キーボードを含んだフルスペック・セッティングでのライブと、メガネビジョンをゲストに迎え、ギターロックバンドとして行なうライブの2パターンに分けられていた。“<DAYS OF ENDURO>=濃厚なグルーヴの耐久レースの日”だったこの日は、ギターをキーボードに持ち替えたお待ちかねのブロックで、「静かの海」、「Carry On」、「霧の200マイル」、そして石田ショーキチ自身が今回のアルバムの中でもっとも気に入っている楽曲「Fruit in season」を披露した。

ライブもいよいよ後半戦に突入し、「ブラックバード」、「Shout it loud」、「My play」で会場は沸点へ。「こんな時代だけど頑張って強く生きていこう!」と、アルバムのテーマでもある一言から始まった「スカイウォカーチルドレン」は、ギター・ソロのために作ったと語っていたように、切れ味鋭いギター・ソロを決める。ちなみにこの曲は、敬愛するスター・ウォーズから生まれた楽曲だそうだ。

そして本編ラストは、あえて聴かせるナンバー「Love your life」をチョイスし、落ち着いた大人のエンディングへ。アンコールの拍手が鳴り止まない中、再び登場すると、「Sha la la」、そして唯一のカヴァー曲としてソロアルバムに収録されたトッド・ラングレンの「I saw the light」を演奏。すべての楽器を自分でこなし、プロデュース&エンジニアリングも行なうトッドは、今回のアルバム制作のお手本であり、石田の目標でもあった。ライブではリラックスした表情で同曲をパフォーマンスしていたのが印象的だった。

再度のアンコールで再登場した石田が最初に演奏した楽曲はアニメ『あしたのジョー』のテーマ曲「美しき狼たち」。「完奏できないかも」と言いつつ、しっかり完奏して楽しませてくれた。ラストはアッパーな「ミラージュ」で会場をひとつにし、フィナーレを迎えた。

ユニット、バンドでの活動を行なってきた石田ショーキチがソロアーティストとして活動を再開して約2年。過去のイメージからの脱却、ソロアーティスト・石田ショーキチの確立を実感できるライブであった。一時は歌うことの意味を見つけられず、悩んだこともあった彼だが、それを経て辿り着いた現在の石田ショーキチからは、迷いは感じられず、純粋に音楽を楽しんでいることが伝わってきた。次の作品が待ち遠しくなる新たな出発の一夜となった。
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